ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) 〜ピクテ投信投資顧問

こんにちは、K2 College河合です。

本日は10年以上前、私が野村にいた時に資産残高が世の中で2位だったピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)のその後を検証してみようと思います(当時1位はグロソブ)。

このファンド、私も持ってました。当時、銀行で買ったのを覚えてます。

そうですね、当時は銀行窓販がスタートしたばかりで、取り扱い商品も少なく、偏ったファンドへ預金が一気に流れ込んでいたので、こうした毎月分配型ファンドばかりがランキング上位に見られました。

それではこのファンドへ投資された方がどうなったのか見てみましょう。

  • 動画解説
  • ピクテ・グローバルインカム(グロイン)とは?
  • グロインの今(資産残高9500億円)

動画解説

ピクテ・グローバルインカム(グロイン)とは?

先進国のディフェンシブ銘柄(株式)へ投資します。ディフェンシブ銘柄というのは、日本だと東京電力(東電)、中部電力(中電)など、インフラ関係をしている元国営の企業のことを示し、景気に左右されず常に社会に必要とされる企業です。そのため企業成長は期待できませんが、安定した経営と収益、配当を求めることができます。

こちらが組入上位10銘柄。

全部でたった56銘柄しか保有せず、全体の平均配当利回り3.4%です。ファンドは通常分散投資することが目的とされますが、このファンドはほとんど分散されていないことになります。ただ先進国の元国営インフラ企業となるとやはり限られた投資先になるのではないでしょうか。

国別に見てみると、米国が中心で約60%。残りが欧州中心となってます。日本は入っていません。

私も昔から中部電力の株を持っています。株価の値動きは多少ありますが、現在でも配当利回りは3.7%くらいあり、預金しておくよりも全然いいですね。

まさにディフェンシブ投資ですね。堅実なやり方だと思います。あとは個別銘柄だとどうしても分散投資できていないので、東電のように地震があって原発事故なんてあると実質破綻状態になってしまいますから、ファンドという形で分散しておくのも手ですよね。

グロインの今(資産残高9500億円)

それでは運用開始から16年が経った今(2021年)の運用状況を見てみましょう。

ピーク時(2007年頃)2,8兆円あった残高が大きく減ったものの、今でもなんと9500億円の残高があります。2021年8月27日現在、分配金を支払った後の基準価額2635円(笑)。投資信託は10,000円スタートですから、チャートの通りずっと下げ続けてます。現在設定来の約1/4になっています。

分配金再投資後の基準価額(赤線)は一時悪かったものの、今は上昇していて約22,000円くらいになっていることからわかるように、どのタイミングで投資された方でも今保有していたら儲かっています。じゃあなぜ基準価額はこれほどまでに低いのか?要因は一言で「毎月の分配金」です。

基準価額2600円となった現在もまだ毎月30円(年360円)分配金出してます。これは現在の投資信託の価値の13.8%の金利を支払っていることになりますから、そんな無茶苦茶な話ないです(年配当は平均3.4%)。つまり毎月30円の分配金を払うには投資家の資金を取り崩すしかありませんから(一部は利益)、どんどん基準価額が下がっているんです。なおこれまでの分配金支払い総額12,570円です。

なぜそこまでして過度な分配金を維持するのか?

おそらくこのグロインに投資している約1兆円分の投資家のリテラシーが高くないため、「毎月出ている分配金30円がどうなったか?」しか気にしていないんでしょう。つまり基準価額が2600円にることよりも分配金の30円が27円になることの方にマイナスイメージがあるんです。結果的に損していないからいいものの、どれほどの投資家が分配金再投資の基準価額(約22,000円)を見ているんでしょうね(投資信託の基準価額についてはこちら)。

私も毎月送られてくる分配金しか見ていませんでした。たまたま儲かっているようなので良かったものの、今後は気をつけたいと思います。

そうですね、せっかくリスクを取って投資されてるんですから、投資先やファンドの仕組み、金融資産全体のことまで理解しておけるといいですね。

【まとめ】毎月分配型はすぐに止めよう

ということで、グロインそのものが悪いのではなく、毎月分配型という仕組み自体に問題があることがわかりましたよね?このファンドに投資するにせよ、分配金受取は必ず「再投資」を選んでおきましょう(分配金と再投資の違いについてはこちら)。

実際の投資先の配当利回り3.4%というのは、昨今の投資先において高い方なんでしょうか?

これが無リスクの金利だったら妥当なところです。ただ実際はご覧のように株価の動きが伴ってきますので、リスクがあります。同じようにリスクがあるんだったら、海外のオルタナティブ(代替投資)の方がリスクが低く、年6%~の金利が出てくるので、そちらの方がいいのではないでしょうか?こちらの『オフショア投資入門書(マニュアル)』を参考にしてください。

※『オフショア投資入門書(マニュアル)』はこちら(無料)

まとめ

  • 基準価額2600円のグロインも損はしていなかった
  • 投資家はリテラシーを高くなるよう勉強しよう
  • 毎月分配型は止めるか再投資にしよう

同じように他のファンドも本サイトで解説しているので、検索、もしくは証券会社別に探してみてください。もしまだ書いていないようなら、書いて欲しいファンド名を遠慮なくご連絡ください。すぐに書かせてもらいます(無料)。

著者プロフィール

河合 圭
河合 圭
<経歴>
青山学院大学国際政治経済学部国際経営学科ファイナンスコース卒業
中国天津南開大学漢語語言学院留学
野村證券にて4年半勤務、2008年リーマン・ショックの前日に退社
プライベートバンクを経て、2009年K2 Investment設立
2014年ボストン留学、2018年Paris留学
現在、K2 Holdings会長

<趣味>
ダイビング、クルージング、自然

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