こんにちは。K2 College大崎です。
以前、「SCHD」と「S&P500インデックス」はどちらを選ぶべきか?という記事を書きましたが、それぞれのファンドの違いを説明し、SCHDとS&P500インデックス(SPY)を組み合わせることについても解説しました。
「SCHD」は、配当収入を目的とする投資家に適しており、S&P500インデックス(SPY)は、長期的な資産成長を目的とする投資家に適しておりましたね。
SPY(S&P500インデックス)は、株価成長を重視するため、配当利回りだけで評価するのは適切ではありません。一方、SCHDは安定した配当成長を重視したETFであり、その評価には異なる指標が求められます。
そこで、SCHDの配当利回りとSPYの利益利回り(1/CAPE)を比較することで、SCHDの相対的な割安感を評価する方法を紹介します。
- SCHDとS&P500インデックス(SPY)の比較:超過利回りの観点から
- 「超過CAPE利回り」と「配当利回りスプレッド」の違い
- 「超過 CAPE 利回り」が「配当利回りスプレッド」より優れている理由
SCHDとS&P500インデックス(SPY)の比較:超過利回りの観点から

このチャートは、SCHDの配当利回りとSPYのCAPE利回り(CAPEの逆数)の差として計算される「SCHDのSPYに対する超過利回り」を示しています。
この超過利回りが高いほど、SCHDが市場全体(SPY)と比較して割安であることを示します。

なお、CAPEレシオ(シラーPER)は、景気循環を調整した株価収益率(PER)であり、長期的な株価の割高・割安を判断するための指標として広く利用されています。現在、S&P500のCAPEレシオは高水準であり、市場全体が割高である可能性が指摘されています。
チャートを見ると、2012年~2014年頃はマイナス1.5~2.0%の水準でしたが、2024年には+1.0%近くまで上昇しており、現在のSCHD超過利回りは過去10年以上で最高水準に達しています。
これは、SCHDが市場全体と比較して割安であることを示唆しており、投資の好機と考えられます。
「超過 CAPE 利回り」の使用がベンチマークとなるのですね。
そうですね。
SCHDの超過利回り=SCHD配当利回り – 1/CAPEであり、これがSCHDとSPYといった異なるファンドを比較するための指標となります。
「超過 CAPE 利回り」については、事項で詳しく解説しますね。
「超過CAPE利回り」と「配当利回りスプレッド」の違い

超過 CAPE 利回り(Excess CAPE Yield)
超過CAPE利回りは、CAPEレシオの逆数(CAPE利回り)から長期国債利回り(リスクフリーレート)を引いたものです。

CAPE(シラーPER):過去10年間の実質利益を基にした株価収益率(PER)。
1/CAPE(CAPE利回り):株式市場の期待収益率の指標。
この指標は、株式の長期期待収益率が国債利回りよりどれだけ高いかを示し、株式の割安度を測る有力な指標です。
配当利回りスプレッド(Dividend Yield Spread)
配当利回りスプレッドは、株式の配当利回りと長期国債利回りの差を指します。

配当利回り = 1株当たり配当 ÷ 株価
配当利回りスプレッド = 配当利回り – 長期国債利回り
この指標は、「株式の配当が国債利回りと比較してどれだけ魅力的か」を判断するために用いられます。
どうして「配当利回りスプレッド」の説明もされたのでしょうか?
「超過 CAPE 利回り」と比較するためです。
「超過 CAPE 利回り」が「配当利回りスプレッド」より優れている理由

配当利回りは企業戦略や景気の影響を受けやすい
企業は増配・減配を柔軟に決定できるため、配当利回りは必ずしも安定した指標ではありません。
景気後退時には企業が配当を削減し、配当利回りスプレッドの有効性が低下することがあります。
CAPE利回りは企業の長期収益力を反映
CAPE利回りは過去10年の利益を考慮するため、短期的な変動に左右されにくい。
企業の実質的な収益力を反映するため、長期的な株式のリターン予測に適している。
国際比較が容易
配当政策は国や市場によって異なるため、国際比較が難しい。
一方、超過CAPE利回りは収益と金利の差を考慮するため、異なる市場間での比較がしやすい。
長期リターンとの相関が高い
過去のデータでは、超過CAPE利回りが高いほど、株式市場の長期リターンが高くなる傾向がある。
配当利回りスプレッドは、特に成長株が多い市場では有効性が低下する。
「超過CAPE利回り」は、株式の長期的な期待リターンを測るのに適した指標であり、「配当利回りスプレッド」は企業の配当政策や短期的な金利変動の影響を受けやすいため、長期投資家にとっては前者の方が優れた指標となります。
特に、成長株中心の市場では配当利回りが低いため、「配当利回りスプレッド」では市場の評価を過小評価してしまうリスクがあります。そのため、SCHDの割安度を判断するには、SCHDの超過利回り(SCHDの配当利回り – 1/CAPE)という指標を用いることが適切であると言えます。
SCHDの配当利回りとSPYのCAPE Earnings Yield(= 1/CAPE)を比較することで、「SCHDが相対的に魅力的かどうか」を判断できるというわけですね。
はい、そうです。
SCHDの配当利回りがSPYのCAPE Earnings Yield(= 1/CAPE)を上回っているほど、SCHDの超過利回りが高くなり、相対的にSCHDの方が割安と判断できるというロジックですね。
まとめ
- SCHDは高配当ETFなので、配当利回りが投資の主なリターン源
- SPYは市場全体の指標であり、利益成長が主なリターン源
- SCHDの配当利回りがSPYのCAPE Earnings Yieldを上回っているほど、SCHDの超過利回りが高くなり、相対的にSCHDの方が割安
- 「SCHD」の「S&P500インデックス」に対する超過利回りは過去最高水準
投資戦略は人それぞれです。
ぜひご自身の目的に合った投資戦略で、お金を得てください。
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著者プロフィール

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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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