こんにちは。K2 College大崎です。
2025年、米国の政治と通貨をめぐる不確実性が高まるなか、世界中の投資家が米ドル圏から徐々に距離を置き始めています。
かつて「安全資産」とされた米国資産が、いま再評価を迫られる局面を迎えているのです。特に注目されているのが、トランプ大統領が掲げる新たな法案とその影響。
こうした流れは、私たち個人投資家にとっても「常識を見直す」きっかけになるかもしれません。
- 第899条のインパクト:海外投資家に広がる警戒感
- 静かに進む米ドル離れ
- 米国依存からの転換(分散投資戦略)
第899条のインパクト:海外投資家に広がる警戒感

今、注目を集めているのが、2025年春にトランプ氏らが提案した包括的経済法案「One Big Beautiful Bill Act」、通称「大きくて美しい法案」に含まれる第899条です。
この条文では、米国の「国家安全保障」に関わると判断された外国人投資家の米国内資産を、凍結または制限できる権限が政府に与えられます。
対象は主に中国企業とされていますが、条文の記述は抽象的で、日本や欧州の投資家、さらにはファンドや保険会社といった機関投資家も対象に含まれるリスクがあります。
さらに問題なのは、この判断が政権の裁量に強く依存する点です。現政権の方針次第では、これまで信頼性の高い投資家と見なされていた国々にも、突如として規制が及ぶ可能性があります。
また、同法案が可決された場合、外国人投資家には資産内容の開示義務が課される可能性があり、情報漏洩リスクやコスト負担の増加も懸念されています。
こうした背景から、グローバルな資産運用を行う投資家の間では、米国資産の比率を引き下げる動きが徐々に広がっています。
投資対象の選定において、政治リスクや法制度の安定性を意識することの重要性が、今あらためて浮き彫りになっているのです。
第899条は本当に日本の投資家にも影響があるのですか?
そうですね。
直接的には中国企業が念頭に置かれていますが、条文は抽象的で広く解釈できる内容です。そのため、日本や欧州など、これまでリスクが低いとされてきた国の投資家も対象となる可能性があります。
静かに進む米ドル離れ

2025年に入り、米ドル建て資産から資金がじわじわと流出しています。これは単なる短期的な調整ではなく、構造的なリスク回避の兆しとして注目されています。
たとえば、5月初旬には米国株式ファンドから162億ドル超が流出し、米国債市場でも45億ドル規模の資金が抜けました。米ドル指数(DXY)は年初来で10%ほど下落しており、ドルの信頼感に揺らぎが出てきています。
その背景には、FRBへの政治的圧力や、関税政策といった保護主義的な動きが再び強まっていることが挙げられます。特に、財政赤字拡大に対する不安や、利下げを巡る政府と中央銀行のせめぎ合いは、市場参加者にとって懸念材料です。
こうした不透明感を受けて、資金は日本や欧州などの比較的安定した市場へとシフトしています。日本株や債券市場には4月に9兆6,000億円を超える海外資金が流入し、欧州市場にも7週連続で資金が集まりました。
私たち個人投資家にとっても、こうした動きは一つのヒントになります。為替の変動や政策リスクに柔軟に対応できるよう、米ドル依存のポートフォリオを見直す時期に来ているのかもしれません。
ドル建て資産の人気が落ちているのは一時的な現象ではないのでしょうか?
一部では一時的な調整という見方もありますが、今の動きは構造的なリスク回避の傾向と見る投資家が増えています。
政治の不確実性や財政悪化、中央銀行への政治介入といった中長期の不安材料が重なっており、「ドル一極集中」のリスクを意識した資金移動が続いています。
米国依存からの転換(分散投資戦略)

こうした動きを受けて、いま注目されているのが地理的・通貨的な分散を意識したポートフォリオ設計です。
米国中心の運用から一歩踏み出し、為替や金利、政策の変動に強い構成を意識することで、長期的な安定性を高めることができます。
たとえば、日本や欧州などの先進国は、政治・経済の制度が成熟しており、比較的落ち着いた市場環境を提供しています。一定の利回りが期待できる配当株や債券をはじめ、長期的に安定収益を狙える選択肢も少なくありません。また、現地通貨建ての資産に投資することで、ドル以外の通貨に分散する効果も期待できます。
一方、新興国では、人口増加や都市化、資源開発といった要因を背景に、今後の成長余地が大きい市場が多く存在します。中長期的には景気の波を受けやすい一面もありますが、経済構造が大きく変化する過程にある国々への投資は、高いリターンを狙える機会ともなり得ます。
また、地域だけでなく通貨の観点からも分散は重要です。たとえば、ユーロや英ポンド建て資産を一部取り入れることで、米ドルの影響を相対的に薄め、為替変動リスクの抑制につながります。
さらに、金やコモディティといった実物資産も分散投資の一部として有効です。これらは通貨の信用不安やインフレに対して一定のヘッジ効果を持ち、特に不透明な金融環境においては防御的な役割を果たします。
このように、地域、通貨、資産タイプを跨いだバランスの良い投資配分を構築することが、これからの変化の激しい世界を生き抜くカギになるのではないでしょうか。
米ドル圏以外への投資はどう始めればいいのでしょうか?
ETFやファンドを通じた国際分散が有効です。
Investors TrustのEvolutionのように、地域・通貨・テーマ別に200本近いファンドから選べるプラットフォームであれば、アジア新興国やラテンアメリカ、中東、欧州など幅広い地域に投資が可能です。
まとめ
- 米国依存の資産構成を見直す時期
- 政治リスクも踏まえた分散投資を
- 通貨・地域・資産のバランスが安定の鍵
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著者プロフィール

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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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