こんにちは。K2 College大崎です。
現在、S&P500の年初来リターンは、約マイナス10%となっております。

流石に、YouTubeなどで「S&P500一択!」というインフルエンサーの発信は見なくなりましたが、それでも「S&P500最強」という言葉はたまに見かけます。
確かに、過去10年のパフォーマンスを見れば、S&P500は非常に優れた成績を残してきました。これを見れば「これさえ買っておけば間違いない」と思ってしまうのも無理はありません。
しかし、本当にS&P500だけでいいのでしょうか?
私は、この単純すぎる選択にはいくつかのリスクが潜んでいると感じています。
今回は、「S&P500一択」に依存することの危うさについて、考えてみたいと思います。
- アメリカ経済一本足では危うい。S&P500の集中リスクに注意
- 実は分散されていない?テック偏重の構成比に潜むリスク
- 過去の実績は未来を保証しない。自分の投資スタンスを持つことが大切
アメリカ経済一本足では危うい。S&P500の集中リスクに注意

YouTubeやSNSで「とりあえずS&P500を買えばOK」とインフルエンサーが勧めていたり、そういった発信を目にする機会が多いと、特に初心者の方は、安心して飛びつきたくなる気持ちはよくわかります。
しかし、投資の基本は「分散」であり、S&P500一択というのは分散の原則から外れた危うい戦略です。
まずS&P500は、その名の通りアメリカの上場大企業500社で構成された指数です。つまり、どれだけ企業数が多く見えても、実質的には「アメリカ経済一本足打法」となります。
米国経済がこれまで長期的に成長してきたのは事実ですが、それが今後もずっと続く保証はありません。たとえば地政学リスクやドルの信認低下、アメリカ国内の財政不安などが表面化すれば、S&P500も大きく下落する可能性があります。

また、他国の成長の恩恵を受けにくい点も課題です。
インドやASEANなど新興国の経済が、今後世界経済を牽引していくとすれば、米国株だけに偏るポートフォリオでは、その波に乗り遅れてしまうかもしれません。
S&P500インデックスにしか投資してませんが、見直しをした方が良いですか?
S&P500を軸にするのは良いですが、それを「一択」にしてしまうことには、慎重であるべきでしょう。
実は分散されていない?テック偏重の構成比に潜むリスク

S&P500は500社に分散されているとはいえ、現在の構成比を見ると実は非常に偏ったバランスになっています。代表的なのが「情報技術セクター」への過度な集中です。
Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Metaなど、いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる巨大テック企業が、指数全体の約30%近くを占めています。これはつまり、「米国に賭ける」のではなく「米国のテック企業に賭ける」という状態に近いとも言えるのです。

これらの企業は直近では大きな成長を遂げましたが、成長のピークを過ぎれば逆に指数全体を押し下げる要因にもなりかねません。また、AIやクラウドといった特定テーマへの期待が株価に織り込まれている現在、仮にその期待が剥がれた時の調整幅も大きくなる恐れがあります。
さらに、こうした銘柄の多くはPER(株価収益率)が非常に高く、金利の上昇や経済成長の鈍化といった要因に敏感です。
2022年のような急激な金利引き上げ局面では、S&P500全体が大きく下落したのは記憶に新しいでしょう。表面上は分散されているように見えて、実は少数の企業の動向に大きく左右されている──この構造的リスクを、しっかり認識しておくことが重要です。
500社に分散されていると認識してましたが、7銘柄で指数全体の約30%近くを占めていたのですね。
S&P500インデックスでも、まだ均等加重の方であれば、全銘柄を同じ比率(1/500ずつ)となり、分散効果が高くなりますね。
過去の実績は未来を保証しない。自分の投資スタンスを持つことが大切

S&P500が魅力的に見えるのは、過去の実績が輝かしいからという面も大きいでしょう。実際、リーマン・ショック以降、米国株はFRBの金融緩和政策やテクノロジー企業の飛躍によって、右肩上がりの成長を遂げてきました。
しかしながら、投資で大切なのは「これからどうなるか」であり、過去の成績がそのまま将来に再現されるとは限りません。
今後はインフレが長期化し、金利も高止まりする可能性が指摘されています。そのような環境下では、成長株を多く含むS&P500のような指数は、過去ほどのパフォーマンスを発揮できないかもしれません。
また、人気がある投資先だからという理由で選んでしまうと、暴落局面で精神的に耐えられなくなり、狼狽売りしてしまうケースも少なくありません。
「みんながやっているから自分もやる」という姿勢では、いざというときに継続が難しくなります。だからこそ、自分自身のリスク許容度や運用目的に応じて、「なぜこの資産に投資しているのか」という納得感を持つことが非常に大切です。
S&P500を「使う」ことは良い選択肢のひとつですが、「それしかない」という思考は、むしろリスクを高めてしまうのです。
S&P500以外、何に投資すればよいかわかりません。
IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)に相談してください。
IFAは銀行や証券会社の営業担当者と違い、顧客に対して中立的な立場で金融アドバイスを提供してくれます。
まとめ
- S&P500は魅力的な投資先のひとつであることは間違いない。しかしながら、それを「一択」にしてしまうのは、思考停止に近い行動かもしれない
- 大切なのは、「なぜ自分はこの投資先を選ぶのか?」という問いに対して、自分なりの答えを持っておくこと
- 流行やインフルエンサーの声に流されず、自分のリスク許容度や投資目的に合わせて、バランスの取れたポートフォリオを構築していくこと
著者プロフィール

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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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