こんにちは、K2 College河合です。
本日は楽天銀行株売出のニュースを解説します。ケータイ事業による借入増加とその償還対応であれやこれや現金化しないといけなくて大変ですね。
今回も借金返済のための売り出しでしょうか。
はい、そのようです。今回の売出で606億円を調達します。
- 売出条件
- 楽天Gの持ち株比率は50%割れ
- 2024年から2年間で8000億円の社債償還
売出条件
楽天グループ(4755.T)は12/7、楽天銀行(5838.T)株式を海外市場で売り出すことを発表しました。売り出し価格は2470円(仮条件は2400-2500円)。12/6の終値2738円に対し割引率9.79%でした。つまりこれに応募すれば9.79%安く購入できます。
売り出し株数は2455万株で、売り出し総額は606億3850万円。受け渡し期日は12/11です。
今年(2023年)6月上場したばかりの株をもう追加で売り出すことになります(楽天銀行IPO記事はこちら)。
楽天銀行株は順調に上がっているので、安く買えるなら応募してもいいですか?
はい、いいと思います。
楽天Gの持ち株比率は50%割れ
これにより楽天Gの保有比率は63.34%から49.27%に低下。50%を割れたことになりますが、持ち株比率による影響をこちらにまとめておきます。
<33.4%(1/3)以上>
株主総会の特別決議を単独で否決する権限
<50%(1/2)以上>
株主総会の普通決議を単独で可決する権限(会社法309条1項)
→ 取締役の選任、解任をはじめとして、会社の意思決定のほとんどを自ら行うことができる。
<66.7%(2/3)以上>
株主総会の特別決議を単独で可決する権限(会社法309条2項)
以下のようなものが挙げられます。
● 自己株式の取得に関する事項の決定
● 募集株式の募集事項の決定
● 事業譲渡(会社法467条1項)
● 合併や会社分割といった組織変更の
ということで、会社の意思決定を単独では行えなくなりました。
そうまでしないと資金調達が厳しかったということですよね?
楽天Gとして色々な事業での資金調達が可能ですが、銀行と証券は放っておいても利益が生み出されるので、本当は売り出したくはなかったんじゃないでしょうか。厳しいですね。
2024年から2年間で8000億円の社債償還
携帯電話事業の不振などで楽天Gは前期(2022年12月期)決算で過去最大の赤字を計上。自己資本比率も大幅に低下。新規株式公開(IPO)などでの資金調達を利用した財務体質の改善を進めていますが、楽天証券も株式手数料、円ドル為替手数料無料などの影響により上場延期。それによりみずほFGに900億円の追加出資を求めるなど、困難な時期が続きます。
今後も2024年から2年間で8000億円超の社債償還があり、引き続きこのような資金調達を続けていなければいけません。
8000億円ってすごいですね。。今回の売出で600億円ですから、全然足りないですね。
本当に大変です。三木谷さんもその間にロビー活動して、プラチナバンド割り当てなど、活路を開こうとしているところじゃないでしょうか。
まとめ
- 楽天G本体は火の車
- 楽天銀行株は買っても良い
- 今後の楽天ニュースに注目
著者プロフィール
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<経歴>
青山学院大学国際政治経済学部国際経営学科ファイナンスコース卒業
中国天津南開大学漢語語言学院留学
野村證券にて4年半勤務、2008年リーマン・ショックの前日に退社
プライベートバンクを経て、2009年K2 Investment設立
2014年ボストン留学、2018年Paris留学
現在、K2 Holdings会長
<趣味>
ダイビング、クルージング、自然
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