過去のインサイダー取引事例まとめ(日本)

こんにちは、K2 College編集部です。

日本におけるインサイダー取引事例を5つ紹介します。それぞれの事件は、日本の金融市場に大きな影響を与え、規制の強化やコンプライアンスの重要性を再認識させるきっかけとなりました。

インサイダー取引ですか。

内部情報を知っている人間が、その情報を元に株の売買を行うとインサイダー取引になります。

  • 村上ファンド事件
  • オリンパス事件
  • ソフトバンク・インサイダー事件
  • 日産自動車事件
  • 日本郵政・かんぽ生命事件

村上ファンド事件

事件の概要

村上ファンド(M&Aコンサルティング)は、元通産省官僚の村上世彰氏が設立した投資ファンドです。村上氏は、株主価値の最大化を掲げ、積極的な株式取得を行いました。しかし、2006年にインサイダー取引の容疑で逮捕されました。

不正の手口

村上氏は、ライブドアの堀江貴文氏から、ニッポン放送株の取得に関する未公開情報を事前に入手し、それを基にニッポン放送株を大量に取得しました。この情報を利用して利益を上げたことがインサイダー取引とされました。

判決と影響

村上氏は、2007年に東京地裁で懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けました。また、罰金1億5000万円が科されました。この事件は、日本の株式市場に大きな衝撃を与え、インサイダー取引に対する監視が強化される契機となりました。

村上ファンド、ホリエモンの買収劇は当時大きなニュースでしたね。

はい、関わる会社規模も大きく、連日報道がありました。

オリンパス事件

事件の概要

オリンパスは、医療機器やカメラで知られる日本の大手企業です。2011年に発覚したこの事件は、会社の会計不正が主な焦点でしたが、同時にインサイダー取引も含まれていました。

不正の手口

オリンパスの経営陣は、損失を隠すために複雑な金融操作を行い、その情報を公開前に知った幹部たちは株式を売却しました。これにより、株価が下落する前に利益を得ていました。

判決と影響

オリンパスの元会長、菊川剛氏らが起訴され、懲役と罰金を科されました。この事件は、日本における企業ガバナンスと透明性の重要性を改めて強調するものであり、規制当局による監視が強化されるきっかけとなりました。

不正会計で大きな問題になっていましたね。

はい、オリンパス株式会社が巨額の損失を「飛ばし」という手法で、損益を10年以上の長期にわたって隠し続けた末に負債を粉飾決算で処理したという事件です。

ソフトバンク・インサイダー事件

事件の概要

2013年、ソフトバンクの社員が、同社の未公開情報を基にインサイダー取引を行っていたことが発覚しました。この事件は、企業内の情報管理の甘さが問題となりました。

不正の手口

ソフトバンクの社員は、ソフトバンクがイー・アクセスを買収するとの公表前の情報を入手、イー・アクセス株を取引し、利益を得ていました。

判決と影響

この社員は、逮捕され、有罪判決を受けました。また、ソフトバンク自体も、情報管理の改善を求められることとなりました。この事件は、日本企業における情報管理の重要性を再認識させるとともに、インサイダー取引に対する規制の強化が求められるきっかけとなりました。

買収を知っていて買付けてしまうとインサイダー取引になりますね。

はい、コンプライアンス遵守をしないとこういった事件が起きてしまいます。

日産自動車事件

事件の概要

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン氏が、2018年に金融商品取引法違反の容疑で逮捕された事件です。ゴーン氏は、報酬の過少申告や会社資金の私的流用が主な容疑でしたが、インサイダー取引の疑いも持たれていました。

不正の手口

ゴーン氏は、自身の報酬や会社の財務状況に関する未公開情報を利用し、株式取引を行っていた疑いがあります。これにより、株価操作や利益の隠匿が行われた可能性があります。

判決と影響

ゴーン氏は、日本を出国し、レバノンに逃亡しましたが、事件は日産自動車の企業ガバナンスに大きな問題を提起しました。この事件は、国際的な注目を集め、日本の企業統治と法執行の在り方について広範な議論を呼び起こしました。

レバノンにゴーン氏が逃亡、と映画のような話でしたね。

はい、会社を私物化し、多額の資産を手にしていた容疑でしたね。

日本郵政・かんぽ生命事件

事件の概要

2019年、日本郵政グループのかんぽ生命保険が不正な販売手法を行っていたことが発覚し、その未公開情報を基にしたインサイダー取引が問題となりました。

不正の手口

日本郵政の幹部が、かんぽ生命の不正販売に関する調査結果を事前に知り、その情報を利用して株式を売却しました。これにより、損失を回避しようとしたとされます。

判決と影響

日本郵政は、関係者を処分し、ガバナンスの改善を図ることを表明しました。この事件は、金融業界全体に対する信頼を揺るがし、より厳格な監督と規制の必要性を浮き彫りにしました。

かんぽ生命の不正販売というのはどういったものでしたか?

かんぽ生命保険で、顧客に不利益となる保険の乗り換え契約が次々と発覚した事件です。19年3月までの5年間で顧客が保険の乗り換えで不利益を被った事例が2万3900件に上ると発表されました。

まとめ

  • 企業買収が表に出る前に株の売買を行うと、インサイダー取引となる
  • 業務上で知り得た情報を使っても同様にインサイダー取引と認定される
  • コンプライアンスの遵守が求められる

これらの事例は、日本におけるインサイダー取引の深刻さと、その取り締まりの重要性を示しています。インサイダー取引は市場の公正さを損なう行為であり、厳格な規制と監視が不可欠です。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

この投稿へのトラックバック: https://media.k2-assurance.com/archives/22975/trackback