各国の年金制度は、その国の歴史、文化、経済状況により多様な形態を持っています。
各国の年金制度は、どのような内容なのでしょうか。
主要な国々の年金制度の特徴をまとめ、日本との違いを明らかにします。
- 日本の年金制度
- アメリカの年金制度
- イギリスの年金制度
- オランダの年金制度
- シンガポールの年金制度
日本の年金制度

構造
日本の公的年金制度は、全ての国民が加入する「国民年金」と、主に会社員や公務員が加入する「厚生年金」の2階建て構造です。
保険料
国民年金の保険料は定額で、2023年度は月額16,520円です。厚生年金の保険料率は18.3%で、労使折半となっています。
支給開始年齢
原則65歳から受給開始となります。
財政方式
現役世代の保険料で高齢者の年金を賄う「賦課方式」を採用しています。
アメリカの年金制度

構造
アメリカの公的年金制度は「ソーシャルセキュリティ」と呼ばれ、会社員や自営業者が加入します。
保険料
保険料率は12.4%で、労使折半となっています。
支給開始年齢
66歳(2027年までに67歳に引き上げ予定)から受給可能です。
財政方式
日本と同様に「賦課方式」を採用しています。
特徴
公的年金の給付水準は現役時代の約40%と低めで、企業年金や個人年金で補完する必要があります。
イギリスの年金制度

構造
イギリスの公的年金は、一定以上の所得がある居住者が対象で、所得に応じて保険料が変動します。
保険料
保険料率は25.8%(本人12.0%、事業主13.8%)です。
支給開始年齢
66歳(2028年までに67歳、2046年までに68歳に引き上げ予定)から受給可能です。
財政方式
「賦課方式」を採用しています。
特徴
公的年金は定額給付であり、企業年金への加入が法律で義務付けられています。
オランダの年金制度

構造
オランダの年金制度は、公的年金(AOW)、企業年金、個人年金の3階建てです。
保険料
老齢・遺族・障害年金の保険料率は27.65%です。
支給開始年齢
66歳(2024年から67歳)から受給可能で、平均余命に連動して支給開始年齢が決定されます。
財政方式
「賦課方式」と「積立方式」の組み合わせです。
特徴
公的年金の給付水準は現役時代の約70%と高く、企業年金の普及率も高いです。
シンガポールの年金制度

構造
シンガポールは「中央積立基金(CPF)」と呼ばれる強制貯蓄制度を採用しています。
保険料
加入者の年齢等により保険料率が異なり、55歳以下では雇用主17%、従業員20%の計37%です。
支給開始年齢
退職口座の最低残高部分は65歳から支給開始で、70歳まで繰り下げ可能です。
財政方式
「積立方式」を採用しています。
特徴
積立金は年金だけでなく、住宅購入、教育、医療など多目的に使用可能です。
各国の年金制度の評価

米国のコンサルティング会社マーサーと投資専門家の団体であるCFA協会が発表した「グローバル年金指数ランキング(2023)」によれば、オランダが1位、日本は30位となっています。 
「グローバル年金指数ランキング」とはどのような指標なのでしょうか?
各国の年金制度の長期的な持続可能性や、退職後の生活保障の質を比較するための重要な指標として利用されています。
まとめ
- 各国の年金制度は、社会的背景や経済状況により多様な形態を持っている
- 日本の年金制度は、少子高齢化の影響で持続性に課題があり、他国の制度を参考にしつつ、改革が求められています。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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