こんにちは。K2 College大崎です。
今回は、S&P500が下落するときに 、なぜ多くの投資家は後悔するのかについて解説します。
- 動画解説
- 成長率だけに目を奪われるリスク
- 投資家が重視すべき2つのポイント
- 割高なグロース株に飛びつくのではなく、適正な価格かどうかを常に確認することが重要
動画解説
成長率だけに目を奪われるリスク

投資信託やETFに投資する際、多くの投資家は「成長性の高いセクター」や「将来有望な企業」を多く含むファンドを好む傾向があります。
しかし、成長率だけに注目するのはリスクが高い戦略です。
例えば、S&P500指数には米国の主要企業が含まれていますが、2020年以降のハイテクセクターの大幅な成長により、指数全体のバリュエーションが急騰しました。
成長性が高いハイテク企業が指数の大部分を占め、将来の成長を完全に織り込んだ価格で取引されていました。その後、金利上昇や景気減速の懸念が浮上すると、株価が急落し、2022年にはS&P500は約24%と大きな下落を経験しました。

このK2 Collegeは2021年8月にローンチしたのですが、この頃は、会社の方針で投資信託の商品記事を書いておりました。
ただ、一方で、クライアントに対しては、まもなくテーパリングや利上げが始まり、大きく株価の調整が入る可能性があると、個別に利益確定の提案をしておりましたが、利益確定された投資家は20〜30%の利益を得られ、大きな下落を経験することはなかったです。
事例紹介を見ていただくと、クライアントへの提案コメントも確認いただけます。
過去のITバブルでも同様の現象が見られました。
成長期待が極端に高まると、少しの業績下振れが株価に大きな悪影響を及ぼしますが、ETFや投資信託においても、成長率だけを理由に購入するのではなく、バリュエーションが適正かを常に意識することが重要です。
S&P500は多様なセクターで構成されていますが、一部のハイテク企業が指数を主導する場面では、投資家が過大評価された成長株に知らず知らずのうちに多くの資金を投じている可能性があります。
長期的なトータルリターンを確保するためには、成長性と適正な価格のバランスを見極める視点が不可欠です。
2022年にはS&P500は約24%と大きな下落を経験しましたが、年後半からエヌビディアのような企業が注目され、株価は再び上昇しましたよね?
AI関連株の強さが注目され、乗り遅れたくないという投資家心理が働き、年後半から買われましたね。
また、年後半から買われたのは、インフレの伸びが鈍化する兆しが見られたこともありましたが、あくまでも結果はそうなったのであって、インフレの伸びが鈍化していなければ、そのまま株価下落は続いたかも知れませんよね。
投資家が重視すべき2つのポイント

ETFや投資信託に投資する際に、トータルリターンを最大化するために重要な2つのポイントがあります。それは「フリーキャッシュフロー成長率(FCF)」と「バリュエーション)」です。
フリーキャッシュフロー成長率(FCF)
S&P500指数に含まれる企業は毎年数兆ドル規模のキャッシュを生み出しています。特にマイクロソフトやアップルなどのハイテク大手は、売上成長率以上にフリーキャッシュフローの成長が著しく、配当や自社株買いを通じて投資家に利益を還元していますが、すべての企業がそうではありません。
売上や利益よりも、フリーキャッシュフローがどの程度増えるかが重要です。
ETFや投資信託に投資する際も、組み入れられている企業のFCF成長率を確認すると、より健全なリターンが期待できます。
バリュエーション
どれだけキャッシュを生み出していても、割高な価格で買えばリターンは悪化します。
S&P500のバリュエーションが過去平均を大きく上回っている時期に投資をすると、今後数年間のリターンが抑えられる可能性があります。
以下は、2024年12月31日時点のバンガードのパフォーマンス予測ですが、

米国大型株の10年間の年率リターン予測は2.7%〜4.7%となっております。
グロース株だと-0.4%〜-1.6%ですね。

また、ゴールドマンのストラテジストの分析でも、S&P500の今後10年の年率リターンは3%にとどまる見込みとされております。

これらの予測の通りになるかはわかりませんが、S&P500のようなインデックスETFでも、組入企業のバリュエーションが高すぎると、将来のトータルリターンが制限される可能性があるということです。
過去のPER(株価収益率)やP/FCF(株価フリーキャッシュフロー倍率)を比較し、割高かどうかを確認することが大切ということですね。
トータルリターンを最大化するために、成長率とバリュエーションの両方を考慮する姿勢が重要です。
割高なグロース株に飛びつくのではなく、適正な価格かどうかを常に確認することが重要

ETFや投資信託に投資する際、割高な状態での投資はリターンの低下を招く可能性があります。
S&P500は時価総額加重平均のため、一部の大型グロース株が指数全体を支配する場面では特に注意が必要です。
例えば、2020年から2021年にかけてのS&P500の急騰時、ハイテクセクターが指数の過半数以上のリターンを占めていました。これらの銘柄が割高であると気づかないまま購入した投資家は、2022年の下落局面で大きな損失を被りました。

・高い成長性に魅力を感じても、適正な価格かを常に確認することが重要
・将来の成長が予想通りでも、すでに市場が織り込んでいる場合、リターンは限定的になる
逆に、市場が一時的なリスクを過大評価し、割安な状態になったときに買うのが理想的です。
例えば、S&P500が景気後退や金利上昇懸念で大きく下落した時期に購入した投資家は、回復局面で大きなリターンを享受できました。
「成長性が高いから買う」のではなく、「適正な価格か」を意識することでトータルリターンが向上するのですね。
はい、そうです。
個別株だけでなく、ETFや投資信託でも、バリュエーションを常にチェックする姿勢が大切です。
まとめ
- 成長率だけを理由に購入するのではなく、バリュエーションが適正かを常に意識することが重要
- バリュエーションが過去平均を大きく上回っている時期に投資をすると、今後数年間のリターンが抑えられる可能性がある
- S&P500は時価総額加重平均のため、一部の大型グロース株が指数全体を支配する場面では特に注意が必要
投資戦略は人それぞれです。
ぜひご自身の目的に合った投資戦略で、お金を得てください。
投資のご相談は、こちらからご連絡くださいませ。
著者プロフィール

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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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