こんにちは。K2 College大崎です。
2024年9月以降、FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を引き下げているにも関わらず、長期金利は上昇しております。
これは、将来的なインフレ率の上昇や財政赤字拡大に対する懸念が影響しているからですが、関税の引き上げや減税といった経済政策が推進される次期トランプ政権の政策も長期金利上昇の一因となっています。
以下で、長期金利上昇の主な要因について詳しく見ていきます。
- 動画解説
- 財政赤字と国債発行の増加
- インフレ率の高止まり懸念
- 将来の財政健全性への不信
動画解説
財政赤字と国債発行の増加

米国政府は財政赤字を補うために大量の国債を発行し続けております。
現在、米国の財政赤字は過去最高水準にあり、国債残高は約36兆ドルに達しています。

この国債発行の増加は市場での価格下落を招き、その結果として長期金利(利回り)が上昇しています。特に、市場では今後も赤字が続くとの懸念が強いため、国債利回りが高止まりしやすい状況です。
さらに、トランプ氏が2025年1月20日に次期大統領に就任するわけですが、「トランプ・トレード」と呼ばれる市場の動きが加速しています。
「強い米国」「強い経済」を掲げたトランプ政権の政策がインフレを引き起こすとの期待から、国債売りが進行して金利上昇を後押ししています。
米長期金利が上昇しているのは、インフレ率上昇や財政赤字拡大に対する懸念が主な要因と見聞きして知っていたのですが、次期トランプ政権の政策も影響してくるのですね。
インフレや財政拡大に対する懸念、そしてそれに次期トランプ政権の政策がどう影響してくるか確認してみましょう。
インフレ率の高止まり懸念

トランプ政権では「関税の引き上げ」「減税」「規制緩和」などの経済政策が推進される見通しです。
これらの政策は、短期的には経済成長を促進する可能性がある一方で、財政支出の拡大とインフレ圧力の増加をもたらします。
市場参加者はこれらの要因を考慮し、将来的なインフレ率の上昇を織り込むため、長期金利を引き上げて対応しています。
インフレ懸念の背景には、エネルギー価格や賃金上昇圧力、サプライチェーンの変化といった要因が含まれます。これらの要素が継続的に経済に影響を与える限り、長期金利が低下する可能性は限定的であると見られております。
長期金利が低下していかないと株価上昇も期待できないですね。
長期金利が高い場合、債券の利回りが株式益利回りを上回る可能性が高くなりますから、投資家は株式よりもリスクの低い債券に資金をシフトするため、株式市場にとってはマイナス要因となりますね。
将来の財政健全性への不信

市場では、米国政府の財政運営に対する懸念が強まっています。特に、年間利払い費用がすでに国防費を超える約9,000億ドルに達しており、これが財政の持続可能性に疑問を投げかけています。
投資家はこのような状況を踏まえ、国債を保有するリスクを高く見積もるため、長期金利にリスクプレミアムを上乗せしています。このプレミアムは、財政赤字の拡大や債務上限問題など、政策リスクが顕在化するほど高まる傾向があります。
トランプ政権の減税政策やインフラ投資計画は、さらなる財政赤字の拡大を招く可能性が高く、これが長期金利上昇の一因となっています。
なお、「トランプ・トレード」の一環として、ドル買いが進み、ドル高が金利上昇をさらに助長しています。ドル高は米国の輸入品価格を抑制する一方で、輸出競争力を低下させるリスクもありますが、市場は短期的な経済刺激効果を重視している状況です。
この先も長期金利は上昇していくのでしょうか?
それは分かりませんが、ここまで解説してきた要因を踏まえると、長期金利の上昇傾向は引き続き継続する可能性が高いと考えられます。米国債購入を減少させる国々の動きもありますしね。
しかしながら、不確定要素も多く、地政学的リスクや世界経済の減速が再び米国債の需要を高める可能性も完全には否定できません。
そのため、投資家としては金利動向を注視しつつ、柔軟に対応していきましょう。
まとめ
- FRBが利下げしているにもかかわらず米長期金利は上昇している
- インフレ率の上昇や財政赤字拡大に対する懸念が影響
- 次期トランプ政権の政策も長期金利上昇の一因
投資家それぞれに適したポートフォリオのアドバイスをいたします。
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著者プロフィール

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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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