人づての紹介や香港ツアーをきっかけに海外投資・海外積立を始めた人の多くは、数年後、非常に厳しい状況に直面する。
ただしそれは「運が悪かった」「悪い人に当たった」という単純な話ではない。
問題の本質は、始め方の構造が最初から失敗を内包していること、そして途中で修正できない心理と環境にある。
香港IFAの運用がどれほど歪で、コストが過剰で、成績が市場平均を下回っていたとしても、多くの契約者はそれに気づかない。
紹介者はやがて消え、いざ自分で調べようとしても、金融リテラシーは不足している。検索すればネガティブな口コミや極端な体験談ばかりが目に入り、余計に判断できなくなる。
しかし最も深刻なのは、契約時点で将来のコストはほぼ確定しており、「何もしない」という選択が最もリスクの高い状態を生み続けるという事実である。
- 紹介で始める投資が生み出す「思考停止」の連鎖
- 香港IFAの運用が悪くても“見抜けない”現実
- 紹介者は消えるが、契約は逃げない
- 検索しても救われない情報環境
- 「放置」は中立ではなく、最悪の意思決定
紹介で始める投資が生み出す「思考停止」の連鎖

紹介ベースで始まる海外投資の最大の問題は、「信頼」を人に預けた瞬間に、自分の頭で考えるプロセスが省略されることだ。
• なぜこの商品なのか
• 他に選択肢はないのか
• コストは何年で、いくら発生するのか
• 途中でやめたらどうなるのか
本来、投資前に検討すべきこれらの問いが、「○○さんが勧めていたから」「実績がある人だから」という一言で消えていく。
この時点で、投資判断の主体は自分ではなく紹介者になっている。
つまり、商品ではなく「人」を信じて契約している状態だ。
この構造は、何か問題が起きたときに致命的な弱さを露呈する。
なぜなら、判断基準が自分の中に存在しないからだ。
香港IFAの運用が悪くても“見抜けない”現実

多くの人は、香港IFAの運用が本当に良いのか悪いのかを判断する能力を持たないまま契約している。
• 成績レポートの数字が意味するものを理解していない
• 市場平均との差、リスク調整後リターンを見ていない
• 手数料が「どこで」「どれだけ」抜かれているか把握していない
結果として、
「増えているように見える」
「長期だから問題ないと言われた」
という曖昧な安心感だけが残る。
しかし冷静に見れば、
市場平均以下の運用成績+長期固定コストという組み合わせは、
時間が経つほど取り返しのつかない差を生む。
問題は、悪い運用そのものではなく、悪い運用に気づく仕組みが最初から存在しないことだ。
紹介者は消えるが、契約は逃げない

紹介者は驚くほど簡単にいなくなる。
• 転職
• 独立
• 海外移住
• 連絡不能
人間関係は流動的であり、ビジネス上の縁は永続しない。
一方で、
• 契約書
• 手数料
• 解約ペナルティ
• 満期までの支払い義務
これらは極めて粘着質だ。
人は消えるが、契約は消えない。
この非対称性を理解せずに始めた投資は、時間とともに重荷へと変わる。
検索しても救われない情報環境

紹介者を失った後、多くの人が次に頼るのはインターネット検索だ。
しかし、そこで目にするのは、
• 「詐欺だった」という断定的な体験談
• 強い怒りや後悔に満ちたブログ
• 別の商品への誘導を目的とした記事
金融リテラシーが十分でない状態でこれらを読むと、
冷静な分析ではなく感情的な恐怖だけが増幅される。
その結果、
• 何が正しいか分からない
• 誰も信用できない
• 行動するのが怖い
という状態に陥りやすい。
情報が多すぎる時代において、無秩序な検索は「知識」ではなく「混乱」を生む。
「放置」は中立ではなく、最悪の意思決定

海外積立や長期型商品で最も危険なのは、「何もしない」という選択だ。
なぜなら、
• コストは契約時点でほぼ確定している
• 払う手数料は時間に比例して積み上がる
• 運用の質を改善しなければ、損失期待値は上がり続ける
つまり、放置とは
コストだけを確定させ、成果の改善を放棄する行為に他ならない。
行動しないことは現状維持ではない。
それは、最も不利な方向に時間を進める選択だ。
資産運用だけではないですが、思考しなくなるとだめですよね。私も紹介者と連絡とれなくなっていて、具体的にはどうしたらいいのでしょうか?
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まとめ
紹介や香港ツアーを起点に始めた海外投資・海外積立が厳しい結末を迎えやすいのは、
個人の判断ミスではなく、構造的に思考停止を誘発する入口から始まっているからだ。
• 判断軸を人に預け
• 商品理解を持たず
• 相談相手を失い
• 情報過多で混乱し
• 放置によって損失を固定化する
この流れは、非常に高い再現性を持って繰り返されている。
重要なのは、過去を悔やむことではない。
すでに確定しているコストと契約条件を直視し、現実的に再設計することだけが意味を持つ。
人ではなく数字を見る。
感情ではなく構造を見る。
そして、「何もしない」という最も危険な選択から抜け出すこと。
そこからしか、立て直しは始まらない。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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