「異次元の少子化対策」の財源は消費増税へ

朝日新聞が4月8、9日に実施した世論調査では、岸田内閣が表明している「異次元の少子化対策」に「期待できる」としたのは33%で、「期待できない」は61%と大きく上回りました。

  • 社会保険料の引き上げで、年間約10万円の賃下げ
  • 経済界の反発で消費税増税へ

社会保険料の引き上げで、年間約10万円の賃下げ

「異次元の少子化対策」で消費税増税となるのでしょうか。

岸田首相としては、「消費税については当面触れることは考えていない」とのことです。

4月7日に「こども未来戦略会議」が開催されましたが、その議事次第を見たところ、こども・子育て政策についてはいろいろ書かれておりましたが、財源については記載がありませんでした。

年間、数兆円規模とされている財源はどう確保するのでしょうかね。

現状では、各種社会保険料(年金、医療、介護、雇用)の国民1人当たりの月額保険料を引き上げて、上乗せ分を財源とする案が有力視されているようですね。

ちなみに、日経新聞が自民党幹部の試算として「必要な予算総額は年8兆円規模」と伝えたところ、その数字をもとにして立憲民主党の山井和則衆院議員が試算したら、月額保険料は4,515円の負担増となるそうです。

しかしながら、社会保険料は労使折半ですから、事業主負担を合わせると実質9,000円の負担増となります。事業主負担とは言っても、結局、その分は給与から差し引かれていると同じですから。

年間で約10万円の賃下げと同じことですね。

ただ、健康保険や厚生年金保険の保険料額は、標準報酬月額等級での算出となりますので、料率が引き上げられれば、標準報酬月額が多い方は、その分負担金額も多くなります。

なお、既に令和2年4月分から事業主は、「子ども・子育て拠出金」として被保険者の厚生年金保険の標準報酬月額および標準賞与額に、拠出金率(0.36%)を乗じて得た額の総額を負担しているのですね。

まあ、厚生年金保険料は「保険料水準固定方式」で18.3%が上限で固定されており、これ以上引き上げることはできませんから、健康保険料が引き上げられることになるのでしょうか。

経済界の反発で消費税増税へ

「こども未来戦略会議」には経団連の十倉会長や経済同友会の桜田代表幹事、連合の芳野会長らが参加しておりますが、経済界は厚生年金や健康保険などの保険料は労使折半のため、負担増を警戒しております。

会議では経済同友会の桜田代表幹事が「どうして消費税の話が出てこないのか。税という形で持続可能性を求めていくべきだ」と意見したそうですが、また消費増税へ繋がりそうですね。

どうして経済界はピンポイントで消費税を持ち出してくるのでしょうか。

社会保険料の引き上げではなく、消費税増税にして欲しいからですよ。

2022年6月29日のブログ「消費税は社会保障の財源ではなく、法人税と所得税の穴埋め」で、1989年度の消費税導入に合わせて、法人税と所得税が減り始めましたことを説明しましたが、

結局、「異次元の少子化対策」の財源も消費税増税となるのではないでしょうか。

経済学者の高橋洋一さんも、社会保険料の引き上げには経済界が反対し、消費増税の話が出てくる。そして財務省はその筋書きになることを理解していると読んでました。

さすが、元大蔵・財務官僚の高橋さん。古巣の財務省が考えているシナリオは手に取るようにわかるようです。

まあ、大企業の社長と言えど雇われ社長ですから、株主である国際金融資本からの要望は無視できないですしね。

いつも述べておりますが、消費者だけでいると貧しくなっていくだけですから、まだの方は早く株主側の立場にも立ちましょう。

そして、資産だけなく自らも海外に脱出できるよう準備をしておきましょう。

まとめ

  • 早く株主側の立場にも立ちましょう。
  • 資産だけなく自らも海外に脱出できるよう準備をしておきましょう。

将来を見据えた分散投資のご相談は、こちらからご連絡くださいませ。

著者プロフィール

大崎真嗣
大崎真嗣
投資アドバイザー

愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。

その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。

自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。

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