こんにちは。K2 College大崎です。
過去の記事で、まずは高齢者の社会保障負担を金融資産に対しても負担させるようにし、(現役世代を納得させてから)現役世代への金融資産に対して負担させるようにしてくるのではないかと述べてきておりましたが、その動きが進んでいますね。
先月、自民党の「医療・介護保険における金融所得の勘案に関するプロジェクトチーム」が社会保険料の算定に金融所得をどう反映させるか検討を始めたとの記事が出ましたが、まだ検討開始の段階でしたので、一旦は記事にするのは止めました。
しかしながら、社会保険料の算定に不動産の勘案もされていましたので、今回は、金融所得や不動産所得によって社会保険料が上がることについて解説します。
- 動画解説
- 金融所得によって社会保険料が上がる
- NISA口座は適用外(今のところ)
- 不動産所得によって社会保険料が上がる
動画解説
金融所得によって社会保険料が上がる
セミナーでも解説しましたが、
証券会社での取引口座には一般口座、特定口座(源泉徴収あり)、特定口座(源泉徴収なし)、NISA口座の4種類あり、NISA口座以外は投資で得た利益に税金がかかり、また確定申告をする場合としない場合で、保険料に差が生じておりました。
一般口座や特定口座であれば、確定申告をすることで「損益通算」や「繰越控除」、「外国税額控除」の適用を受けることができましたね。
現在、上場株式の配当など金融所得の一部について保険料に反映されているのは確定申告した場合のみですが、
それを確定申告の有無による不公平を是正するためという大義名分として、社会保険料の算定に金融所得をどう反映させようかと検討を始めるわけです。
現在、国民健康保険料や介後保険料、後期高齢者医療保険料などを支払っている自営業やフリーランス、定年退職後の方が投資の利益を確定申告すると、社会保険料が高くなるケースが多いです。
資産運用で生活費をある程度確保できる仕組みを作り、定年より前に仕事をリタイアするFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指している方にも大きな影響が出てきますね。
サラリーマンには影響ないのでしょうか。
今のところ、会社員の場合は金融所得があっても対象にならなさそうですね。
毎日新聞の記事に「サラリーマンらが加入する被保険については、保険料を給与所得に基づき算出し労使折半で負担しているため、簡単には手を出せない」との自民党議員の意見がありましたが、いずれはマイナンバーを活用して対象にしてくるのではないでしょうか。
政府がマイナンバーカードの導入を急いでいる理由がわかりますよね?
NISA口座は適用外(今のところ)
社会保険料に金融所得が反映されるということになると、NISA口座を利用している方も適用されるのでしょうか。今年から新NISAを始めた方も少なくないと思いますが、気になるところですよね。
今のところ、NISA口座は適用外とのことです。
しかしながら、新NISAは利益が非課税になる制度であって、「社会保険料は税金ではない」のですよね。
これ、政府が言いそうですよね。
金融所得課税は当面見直ししないと言ってしまったから、増税はできない。
でも、社会保険料は税金ではないですからと。
ただ、社会保険料は税金ではないですからとNISA口座も対象にすれば、大反発を招きますから、当面は適用外とするでしょう。
でも、確定申告の有無による不公平を是正するために社会保険料に金融所得を反映するようにしていくのですよね?
同じ資産形成をしているにも関わらず、NISA口座は適用外で、他の口座で資産形成をしている人だけ金融所得を社会保険料に反映させるのは不公平ではないのではしょうか?
そのうちNISA口座も適用になリますでしょうか?
それはわかりません。
ただ、マイナンバーによって金融資産が把握できるようになってくれば、資産金額に応じて社会保険料や税金が上がってくる可能性はあると考えておいた方が良いでしょう。
不動産所得によって社会保険料が上がる
内閣官房のホームページに第16回全世代型社会保障構築会議の議事録が公開されておりましたが、その中で、社会保険料の算定に「不動産の勘案」もされていました。
以下にその部分を抜粋しますので、ご確認ください。
それともう一つ同じところで、不動産の勘案。つまり金融資産の勘案という話は既に書かれているわけですけれども、資産を持っているというのは金融資産だけではないと。不動産もあるということで、今までは介護保険でも金融資産の勘案という話が議論に上ったときに、不動産は勘案できないのかという話も初期の頃はあって、けれども、残念ながらその当時の仕組みでは固定資産税の台帳は確かに各市町村にあるけれども、他の市町村に 保有している不動産というのは当然ながら把握できないということなので、自分が住んでいる市町村の不動産しか勘案しないというのではアンバランスなのではないかということで、不動産の勘案という話が立ち消えになった。私の記憶では、そういう議論の経緯があったと承知しておりまして、そういう意味では、2040年を見据えるということであれば、不動産を勘案するということができるのではないか。特に今、進められている不動産IDの活用ということが官民協調して行われるということがありますから、それでデジタル的にも勘案することができるのではないかと思います。
まず、冒頭で自民党のプロジェクトチームが社会保険料の算定に金融所得をどう反映させるか検討を始めたとの記事を取り上げましたが、
2023年11月30日に開催されたこの会議の議事録を読んでいると、以前より金融所得が社会保険料の算定が議論されていることがわかりますよね。
政府は、全世代対応型の持続的な社会保障制度を導入しようとしており、以下の時間軸で改革を進めようとしております。
1つには2024年度に実施する取組
2番目に加速化プランの実施が完了する2028年度までに実施について検討する取組
3点目で2040年頃を見据えた中長期的な課題に対して必要となる取組
政府は2028年度までに社会保険料に金融所得を反映させる道筋をつけ、2040年までに不動産を社会保険料の算定に入れるよう取組みたい考えです。
議事録には以下の記載がありましたが、不動産IDもマイナンバーカードと一体化し、所有している不動産も社会保険料の算定に入れていく意気込みが感じられます。
「2040年を展望しそこまでに全世代型社会保障を構築する観点からも、今が改革の工程表を決定する最後のチャンスであり、今から動かなければ2040年に間に合わないのではないかと、思います。このラストチャンスは両方にかかるものではないかと感じております」
社会保険料に不動産所得が反映されるようになっても、不動産投資をしている方しか関係ないですよね?
そうとも限りませんよ。
将来的には所有している自宅不動産に対して適用されるかもしれませんし、賃貸に住んでいる人でも大家の社会保険料が上がった分、家賃が上げることもあります。
まとめ
- 金融所得や不動産所得によって社会保険料が上がる
- NISA口座は適用外(今のところ)
LINEでの相談も受け付けております(無料)。
著者プロフィール
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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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