過去のインサイダー取引事例まとめ(世界)

こんにちは、K2 College編集部です。

インサイダー取引は、世界中の金融市場で重大な犯罪行為とされています。以下に、世界で発生した5つの著名なインサイダー取引事件を紹介します。それぞれの事件は、市場の信頼性に大きな影響を与えました。

多くの国でもインサイダー取引が行われていたんですね。

そうですね。やはり利益を得られるので安易に行ってしまう人間もいますが、失うものが大きい犯罪でもありますね。

  • ラージ・ラジャラタナム事件(アメリカ)
  • マーサ・スチュワート事件(アメリカ)
  • トーマス・クラムリン事件(イギリス)
  • S. Ramalinga Raju事件(インド)
  • ゲタル・アマラント事件(インドネシア)

ラージ・ラジャラタナム事件(アメリカ)

事件の概要

ラージ・ラジャラタナムは、Galleon Groupというヘッジファンドの創設者であり、2009年にインサイダー取引の容疑で逮捕されました。この事件は、アメリカ史上最大のインサイダー取引事件の一つとされています。

不正の手口

ラジャラタナムは、企業の幹部や内部関係者から未公開の業績情報を入手し、それを基に株式の売買を行っていました。これにより、数億ドルの利益を不正に得ていました。

判決と影響

2011年にラジャラタナムは、懲役11年の実刑判決を受け、1億5000万ドルの罰金が科されました。この事件は、インサイダー取引に対する司法当局の取り締まりが強化される一因となり、多くの金融機関や投資家に対して厳格なコンプライアンスの必要性を再認識させました。

ファンドマネージャーによるインサイダー取引ですか。

当時はファンドが保有する株が急落するなど大きな影響がありました。

マーサ・スチュワート事件(アメリカ)

事件の概要

マーサ・スチュワートは、アメリカの有名なビジネスウーマンであり、ライフスタイルブランドを展開しています。2001年にインサイダー取引の容疑で逮捕されました。

不正の手口

スチュワートは、イムクローン社のCEOである友人から、FDAが同社の抗がん薬を承認しないとの内部情報を入手し、その情報を基に同社の株式を売却しました。この情報を利用して、損失を回避しました。

判決と影響

2004年にスチュワートは、有罪判決を受け、懲役5ヶ月と2年間の保護観察、さらに罰金3万ドルが科されました。この事件は、有名人がインサイダー取引に関与することのリスクと法的な結果を強調しました。

有名人も逮捕されているんですね。

いわゆる「カリスマ主婦」のはしりとされたマーサ・スチュワートの事件です。日本でもマーサ・スチュワートグッズはSEIYU(株式会社西友)とのライセンス契約があったそうです。

トーマス・クラムリン事件(イギリス)

事件の概要

トーマス・クラムリンは、デイヴィッド・バーンズと共に、2007年にインサイダー取引の容疑で逮捕されました。彼らは、JPモルガン・クーズのトレーダーとして働いていました。

不正の手口

クラムリンとバーンズは、未公開の企業買収情報を基に株式を取引し、数百万ポンドの利益を得ました。この情報は、JPモルガン・クーズの内部から得たものでした。

判決と影響

2009年にクラムリンは、懲役8年の実刑判決を受けました。この事件は、イギリスの金融市場におけるインサイダー取引の取り締まり強化を促し、金融機関の内部監査の重要性を示しました。

イギリスでもあったんですね。

懲役8年の実刑ですので結構重い量刑ですね。

S. Ramalinga Raju事件(インド)

事件の概要

S. Ramalinga Rajuは、サティヤム・コンピュータ・サービシズの創設者であり、2009年にインサイダー取引および会計不正の容疑で逮捕されました。

不正の手口

ラジュは、会社の財務状況を虚偽報告し、株価を高値に維持しました。この情報を基に、自社株を売却し、不正に利益を得ていました。

判決と影響

ラジュは、懲役7年の実刑判決を受けました。この事件は、インドのIT業界と株式市場に大きな衝撃を与え、企業の透明性とガバナンスの重要性を改めて強調するものとなりました。

サティヤム・コンピュータ・サービシズというのは大手だったんですか?

はい、サティヤムはインドのトップ4に入るIT企業で、600社以上のグローバル企業を顧客に抱え、年間の売り上げは10億ドル以上。粉飾額は10億ドル以上とされ、インド版エンロンと呼ばれました。

ゲタル・アマラント事件(インドネシア)

事件の概要

ゲタル・アマラントは、バンク・センチュリーの元幹部であり、2008年にインサイダー取引の容疑で逮捕されました。

不正の手口

アマラントは、銀行の破綻を事前に知り、その情報を基に自社株を売却しました。これにより、損失を回避しました。

判決と影響

アマラントは、有罪判決を受け、懲役5年の実刑判決を受けました。この事件は、インドネシアの銀行業界における規制強化と監督の必要性を示しました。

銀行の破綻を事前に知った幹部が売却ですか。

損害を少しでもへらしたかったんでしょうね。

まとめ

  • 企業買収が表に出る前に株の売買を行うと、インサイダー取引となる
  • 業務上で知り得た情報を使っても同様にインサイダー取引と認定される
  • コンプライアンスの遵守が求められる

これらの事例は、インサイダー取引がいかに市場の信頼を損なうかを示しています。各国の規制当局は、このような不正行為に対する取り締まりを強化し、金融市場の透明性と公正性を確保するための努力を続けています。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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