こんにちは、K2 College奥山です。
日本の至る所で目にする「保険見直し」。海外では…
私は今年の4月に日本に戻って来るまで、豪州と香港にそれぞれ6年&14年程いて、主にアジア諸国在住邦人を相手に投資信託や保険商品の紹介をしていたわけですが、日本に戻って来て改めて思ったのは、保険見直しビジネスが活況だなあ、と。勿論、海外在住時でもそのことは聞き及んでいたのですが、実際に日本の街中に「保険見直し」の看板を掲げるお店が至る所にあるのは想像以上でした。ネットも然りですよね。日本に住んでいる人達にしてみたら当たり前の光景なのでしょうが、日本よりも遥かに保険業界における競争が激しい香港で「保険見直し」なんてコピーを見たことはありません。
香港で不祥事を起こすと監督当局から当事者の実名付きのEメールが
香港で保険契約を結ぶ際には必ず「Replacement Declaration」という「保険転換契約を結ぶ際の注意」を理解したことに同意をする書面にサインをしなければならず、勿論これ自体は日本でも同じなのでしょうが、香港では新規契約が「保険転換契約」と見なされた場合は販売側に膨大な説明責任、即ち「何故、既存の保険契約から新しい保険に乗り換えることがクライアントの利益となるのか」ということを証明する義務が生じ、違反すると販売員としての活動自粛を求められたり、場合によっては営業ライセンスの没収に繋がる為、迂闊に「保険見直し」なんて勧められないのです。しかも不祥事が発生した場合には、ご丁寧に監督当局から当事者の実名、不祥事や発生経緯、刑罰・懲罰等が明記されたEメールがライセンス登録者に送られ大勢の人の間で回覧されますから、香港の保険販売者はかなり高いプレッシャーの下で業務に臨んでいます。私も実際に、当局から送られてきたEメールの中に嘗ての同僚の名前を見付けて驚いたという経験があります。そんな香港の保険業界従事者の目に、かんぽ生命の件などはどのように映るのでしょうか…
各社が切磋琢磨して成長する香港の保険業界
香港を訪れたことがある人であれば、街中に金融機関、特に保険会社の看板が多いことに気付くと思います。それもそのはず。面積では日本の0.3%にも満たない場所に70社を超える数の生命保険会社があるのです。令和3年12月1日時点で日本の金融庁に登録されている(免許付与)生保は42社となっていますから、香港の生命保険会社がいかに激しい競争に晒されているかは容易に想像つきますよね。であるからこそ、少しでも他社よりも良いサービスや商品を提供しようと各社が一生懸命になり、日本では決して目にしないようなスペックや利回りの高い商品が当然のようにあるのです。
As at 30 September 2021, there were 165 authorized insurers in Hong Kong, of which 91 were pure general insurers, 54 were pure long term insurers, 19 were composite insurers and 1 was special purpose insurer.
As at 30 September 2021, there were 2,182 licensed insurance agencies, 88,328 licensed individual insurance agents and 26,223 licensed technical representatives (agent). In addition, there were 820 licensed insurance broker companies and 11,507 licensed technical representatives (broker) on the same date.
In 2020, the total gross premiums of the Hong Kong insurance industry increased by 2.5% to $581.3 billion.
– The Market (Hong Kong Insurance Authority)
商品設計や提案書がシンプルなので、比較が簡単
「保険見直し」に話を戻します。(これは全くの私見ですが)そもそも商品設計が比較的シンプルで、提案書も業界全体で使用するスタンダードなデザインがあるため異なる保険会社の商品であっても比較検討がし易く、加入を検討している人は大概複数の会社から相見積を取っていて、十分に調査した上で契約書にサインをするため、後から「見直す」という需要が低いということもあるのかも知れません。私も自分が取り扱っていない商品の資料や提案書を見せられて意見を求められるという経験が過去に何度もありますが、商品を理解するのに難儀したことはありません。同じカテゴリーの商品であれば、提供する保険会社こそ違えども商品自体は大同小異なんですよね。なので、保険商品比較サイトもデザインがかなりシンプル、且つ明瞭。「利回りランキング」とか、なかなか凄いことになってます…。因みに医療保険の場合、治療方法ではなく疾病の種類によって保険金が下りるか否かが決まる商品の方が一般的であるため、新しい治療法が開発される都度、それに対応した新しい保険商品や特約が出る、といったことが香港では少ないということも、見直し需要が低いという理由の一つかも知れません。
海外・オフショアに目を向けましょう
ここまで香港の話ばかりしてきましたが、金融業社が生き残りを掛けて良い商品やサービスを提供しようと躍起になっているのは海外・オフショアでは当然のこと。勿論、海外・オフショアの金融業社だってダメなところは沢山あるでしょうし、不祥事を挙げたら枚挙に暇が無いわけですが、それでも日本の金融業界が残念な状況にあると強く感じるのは、国内外の金融事情に精通している弊社であるからこそ。皆さんも是非、海外・オフショアに目を向けてみてください。
著者プロフィール
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<経歴>
獨協大学外国語学部卒業
オーストラリア・シドニーで日系旅行会社(近畿日本ツーリスト)、英系オンラインFXプロバイダー(CMC Markets)に勤めた後、結婚を機に妻の出身地である香港に移住。同地で独立系IFA(Jumbo Alliance Funds)に10年、新生銀行資本のNippon Wealth Limitedに3年勤務し、為替、債券、投資信託、及び保険といった金融商品の販売や取引先の開拓に従事。20年に及ぶ海外生活に終止符を打ち、2021年春に日本に帰国し、同年5月にK2 Holdingsに参画。
<趣味>
旅行、読書、テニス
<出身地>
埼玉県川口市
<自己紹介>
ホテル・レストラン経営を学ため、ホスピタリティーのメッカであるオーストラリア・シドニーに留学し、一旦は現地で旅行会社に就職したのですが、友人の影響を受けて株式投資を始めたことを機に金融に対する興味が増し、思い切って金融の世界に飛び込んだのが2007年。そこから一貫して海外の金融商品を日本国内外のお客様に紹介してまいりました。
これまでのキャリアで学んできたことの中で最も大きいと思うことのは、金融という無味乾燥に見える業界においても、誠実さや真心、信頼や義理人情に勝るものはなく、それは国籍を問わず同じであるということ。低金利政策が長引き、あらゆる業界において規制緩和も遅々として進まないという日本の現状に失望し、海外投資に興味を持つ人が沢山いる一方で、横文字だらけでハードルが高いと感じ、第一歩を踏み出すことができないでいる人がたくさんいることも事実です。そんな方々に安心して海外投資を始め、続けてもらえるようスタッフ一丸となって誠心誠意サポートしていきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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