2025年現在、日本の地方不動産市場は「全国的な地価上昇」のトレンドの中で、地域ごとに大きく異なる展開を見せています。国土交通省による公示地価では全国平均+2.7%上昇(住宅地+3.3%、商業地+7.1%)と4年連続の上昇  。
一方で、地方都市や観光地では加速した地価上昇が顕著。札幌・仙台・広島・福岡など主要地方都市では住宅地が+4.9%、商業地が+7.4% 。一方、人口減少・空き家問題に直面する地方中山間地域では、価格横ばいや下落地域も散見され、全国平均の“良い顔と悪い顔”が重なる形となっています。
こうした中、地方においても“均一的な市場回復”とは異なり、「リゾート地・半導体進出エリアなどに絞った高成長」と、「過疎地での急速な地価悪化」の二極化構造が鮮明です  。さらに訪日観光や企業誘致、インフラ整備による通年需要の創出が加わる地域では、新たな資産価値形成が進んでいます(例:新潟・妙高にシンガポール資本が投資) 。
地方の不動産市場について状況を教えてください。
以下で詳しく解説します。
- ① 地価上昇は全国的に継続するが、地方では格差拡大
- ② 観光・リゾート地への投資流入が地価牽引
- ③ 地方中核都市は堅調拡大、戸建・マンションが安定
- ④ 建設着工減少と住宅供給制約が地方にも波及
- ⑤ 空き家“akiya”問題と政策対応の歩み
① 地価上昇は全国的に継続するが、地方では格差拡大

• 全国平均地価は+2.7%の上昇(住宅用地+3.3%、商業用地+7.1%)と2~4%台で推移 。
• **三大都市圏と主要地方都市(札幌・仙台・広島・福岡)では+4~7%**程度の上昇が続いており、都市部・地方主要都市で回復基調が鮮明 。
• 一方で、人口減少・産業空洞化が進む過疎地域では価格が停滞か下落し、地方全体での二極化が進行中です 。
② 観光・リゾート地への投資流入が地価牽引

• 妙高(新潟)では外資による大型リゾートプロジェクトが進行しており、地価上昇や投資熱が顕著 。ただ、過剰開発や文化的摩擦も課題となっています。
• 北海道・ニセコや長野・白馬などのスキーリゾート地は地価高騰が過熱しており、住民不満や生活コスト上昇の声も出始めています 。
• 観光資源のある地方都市では、リノベ民泊や観光客需要を起点に地価・賃料ともに上昇する局面が生まれています。
③ 地方中核都市は堅調拡大、戸建・マンションが安定

• 札幌・仙台・広島・福岡などでは住宅地・商業地ともに堅実に上昇し、地方中核都市市場が再評価 。
• 福岡市では住宅価格前年比+9%、大阪も+4〜9%と大都市圏に近い上昇を記録 。
• 一般的な地方都市でも中古マンション価格や戸建需要が堅調。特に郊外戸建てで利回り投資やリモートワークを見据えた移住需要が増えています 。
④ 建設着工減少と住宅供給制約が地方にも波及

• 日本全国の2024年住宅着工数は約79万戸(前年比▲1%)、2025年1月はさらに▲4.6%減と供給不足が加速 。
• 地方でも新築供給が抑制され、中古市場に取引が集中する傾向が強まっています。
• 結果、価値のある築浅物件や好立地物件では競争による地価・価格上昇が発生する一方、在庫過多な築古物件は放置されがちです。
⑤ 空き家“akiya”問題と政策対応の歩み

• 日本の空き家数は800万戸超とされ、地方の住環境・地価にダウンリスクを与えています 。
• 政府は空き家対策として補助金・税優遇などを打ち出し、移住促進やリノベ支援が一部エリアで進展。
• 一方で、改修費用や管理負担など実効性の課題もあり、政策効果は地域差が大きい状況です。
地方不動産への投資はやめておいた方がおいですか?
地方の不動産市場は、好調地域と苦戦地域の二極化が進行中してます。
しかしながら、「選別された特殊エリア」には魅力がありますので、個別要因を丁寧に分析し、投資するのは有りだと思います。
まとめ
- 全国地価は緩やか上昇(住宅地+3.3%、商業地+7.1%)。主要都市は+4~7%、地方平均+2.7%
- 観光・リゾート地では外資流入による急騰(妙高、ニセコなど)、中核都市では堅調成長(札幌・福岡など)
- 供給不足の中で良質物件が選別され、中古市場活性化と価格上昇が進む
- 空き家問題・人口減エリアは地価停滞〜下落が常態化、政策の実効性が分かれ目
- 今後のリスクとして、金利上昇・円高の外資減退・地方経済の停滞が挙げられる
投資・購入時の視点
- 投資で狙うべきエリア:観光資源・再開発・インフラ整備がある地域(例:リゾート地、地方都市中心街)。
- 注意が必要なエリア:人口減や空き家が進行する過疎地域。補助金や自治体支援を活用しながら、リノベ傾向を見極める必要あり。
- 住居として選ぶ場合:移住需要のある地域であれば、利回り・生活コスト・コミュニティ形成を中心に中長期視点での選定を。
- 収益用不動産を検討する場合:都市間比較で利回り・稼働率・税制優遇が有利な地方中核都市や観光地の方が安定性が高い。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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