香港IFAによる海外積立投資 ― 成績不振の背景と投資家が直面する現実

香港を拠点とするIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が提供する「海外積立投資」は、日本の投資家にも長らく紹介されてきました。オフショア保険会社や投資信託を組み合わせた積立型の商品は、「国際分散投資」「長期的な資産形成」といった魅力的な言葉とともに販売されてきましたが、実際に契約した多くの投資家が期待通りの成果を得られていないのが実情です。特に運用成績が思わしくない、途中で積立が続かない、IFAとの関係が途絶えるといった問題が頻発しており、結果的に「どこも運用成績が悪い」との印象が広がっています。

香港を拠点とするIFAが提供する「海外積立投資」は 、どうして多くの投資家が期待通りの成果を得られていないのでしょうか?

その背景を整理すると、手数料構造、商品設計、IFAの実力差、投資家の行動特性、そして制度上の問題に集約されますが、以下で解説しますね。

  • 高コスト構造がリターンを圧迫
  • 積立の継続が困難
  • IFAとの関係断絶
  • IFAの実力差と商品選定の偏り
  • 制度・文化的な制約と誤解

高コスト構造がリターンを圧迫

海外積立型商品の最大の問題は、複雑かつ高額な手数料体系にあります。一般的なファンドや保険ラップ商品では、初期コストとして「初期口座手数料」が数年分かかり、さらに毎月の積立金額から販売手数料や運用管理費が差し引かれます。加えてIFA自身のコミッションが加算されるため、投資元本の相当部分が手数料に消える構造になっています。特に契約初期の5〜7年間は手数料比率が極めて高く、この期間に解約すると解約控除によってほとんど資産が戻らないケースも珍しくありません。
結果として、仮にファンドが市場平均並みのパフォーマンスを上げても、投資家が受け取る実質利回りは大幅に低下します。運用成果が悪いと感じる背景には、この「手数料負担によるリターン圧迫」が大きく影響しています。

積立の継続が困難

積立投資は「長期にわたり継続する」ことが大前提ですが、実際には9割近くの投資家が計画通りに積立を続けられていません。理由はさまざまで、生活環境の変化、収入の不安定化、為替変動による積立額の上昇、あるいはIFAからのフォロー不足などが挙げられます。特に日本円から香港ドルや米ドルへの為替両替が必要となるため、円安が進行すると毎月の負担額が増え、投資家が途中で積立を停止してしまう事例が多発しています。
積立を止めれば複利効果は働かず、さらに初期手数料を回収できないため、契約が「損失確定」に近い状態で放置されるケースもあります。結果的に「運用成績が悪い」というより、「計画通り継続できなかったことによる失敗」が大半を占めています。

IFAとの関係断絶

もう一つ大きな問題は、IFAとの関係が途絶えてしまうケースが非常に多い点です。香港のIFAは日本に常駐していないことが多く、販売時には日本語で説明していても、その後のアフターフォローが不十分になりがちです。中には数年で日本市場から撤退してしまうIFAもあり、顧客が問い合わせても連絡が取れなくなることさえあります。
IFAとの関係が途絶えれば、投資家は自ら商品やファンドのメンテナンスを行わなければなりませんが、多くの人はその知識を持ち合わせていないため、運用成績が低迷しても対応できないまま放置されるのが実情です。IFAは本来「独立した助言者」として顧客を長期的にサポートするはずですが、現実には販売時点のコミッションが主な収益源となっており、長期的な顧客支援のインセンティブが弱い構造が背景にあります。

IFAの実力差と商品選定の偏り

同じ香港IFAでも、提供するファンドの種類や運用方針は大きく異なります。あるIFAはインデックス連動型の低コストファンドを組み入れて安定した成果を出している一方、別のIFAは手数料の高いアクティブファンドばかりを組み込み、結果として市場平均を大きく下回る運用成績に陥っています。
つまり「香港IFAの積立=全て成績が悪い」わけではなく、IFAの力量や商品選定の偏りが投資家の成果に直結しているのです。ところが、日本の投資家の多くはIFAを比較せず、紹介者や営業トークを頼りに契約してしまうため、結果的に成績不振のIFAを選んでしまう確率が高いのです。

制度・文化的な制約と誤解

最後に、制度的な問題や文化的な誤解も無視できません。日本国内の金融商品と異なり、オフショア積立は日本の金融庁による直接的な規制下にはありません。そのため「海外だから有利」「日本では買えない特別商品」という誤解を招きやすく、販売業者はそのイメージを強調してきました。しかし実際には、海外積立で提供されるファンドは必ずしも優良ではなく、むしろ販売手数料が高く設定されているケースも多いのです。
さらに、日本の投資家は「途中解約=即解約返戻金」という国内保険の常識を持ち込むため、海外積立で数年間資金が凍結される仕組みを十分理解せずに契約するケースもあります。この「制度上の仕組みと文化的誤解のギャップ」が、不満や失敗を生みやすい背景となっています。

まとめ

  • 香港IFAが扱う海外積立投資は、「国際分散」「長期積立」という理想的な言葉に彩られつつも、現実には以下の要因が重なって運用成績が芳しくない結果となっています
  • • 高額な手数料によるリターン圧迫
  • • 積立の中断や不継続
  • • IFAとの関係断絶やサポート不足
  • IFAごとの実力差と商品選定の偏り
  • 制度的制約や文化的誤解

結論として、「海外積立の成績が悪い」のではなく、「投資家にとって不利な仕組みを十分理解せずに契約し、継続できなかった結果」と言えます。成功している投資家は、手数料の低い商品を選び、IFAとの連携を保ちながら、20年近く積立を継続しています。逆に大多数の投資家は「数年で積立を止め、IFAとも疎遠になり、解約控除に苦しむ」パターンに陥っているのです。

今後もし海外積立を検討するなら、IFAの比較と手数料体系の透明性を徹底的に確認し、「積立を20年続ける覚悟があるか」を自問することが不可欠です。

そうでなければ、「どこも運用成績が悪い」という結末に至る可能性が極めて高いでしょう。

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著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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