2024年の「新NISA」スタート以来、日本中で空前の投資ブームが巻き起こりました。証券会社は口座開設ラッシュ、テレビやYouTubeは連日のNISA特集、書店にはNISA入門本が山積み。大衆は我先にとNISA口座を開設し、「これで未来は安心」と口々に語ります。しかし、この光景は冷静な金融リテラシーの高まりというより、安心と同調に群がる感情型の大衆心理そのものです。
感情と安心に支配された投資行動とはどういうことですか?
以下で詳しく解説します。
- 新NISA
- 群がる大衆の心理
- 感情型人間としてのNISA投資家
- メディアとインフルエンサーの構図
- 大衆の末路
NISAとは何か

NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得られた利益にかかる約20%の税金を非課税にできる制度です。2024年の新NISAでは、年間投資枠が大幅に拡大され、生涯非課税投資枠も設定されました。制度としては魅力的であり、長期的な資産形成の後押しになることは間違いありません。
問題は、大衆が「制度を正しく理解して使う」のではなく、「流行だから」「みんなやっているから」という理由で飛びついていることです。
群がる大衆の心理

• 「非課税=絶対お得」と思い込む
→ 実際には損をすれば非課税メリットも意味がないのに、「税金ゼロ」という言葉だけで安心。
• 「やらないと損する」という恐怖
→ メディアやYouTuberの「やらないのは愚か者」的メッセージに煽られる。
• 「みんな持ってる」という同調圧力
→ 職場やSNSで「NISA始めた?」と聞かれると、やっていない自分が不安になる。
結局、大衆は投資をしているのではなく、「置いていかれたくない不安」を和らげるために口座を開設しているのです。
感情型人間としてのNISA投資家

• 商品理解の浅さ
→ NISA枠を使ってレバレッジETFや新興国ファンドを買うなど、本来の趣旨から外れた行動も目立つ。
• 短期目線で一喜一憂
→ 「非課税だから安心」と言いながら、株価が下がると狼狽。
• 自己正当化
→ 「長期で見れば上がるから大丈夫」と言いつつ、本心はただの安心材料探し。
彼らは「非課税」というラベルに感情的に引き寄せられているだけで、投資家というより制度に依存する消費者に近いのです。
メディアとインフルエンサーの構図

YouTubeや証券会社の宣伝は、大衆心理を巧みに突いてきます。
• 「これだけで人生安泰」
• 「初心者でも放置で勝てる」
• 「やらないと損する」
これらは論理ではなく、不安を刺激して安心を与える感情操作のコピーです。大衆は「自分が合理的に選んでいる」と思い込みながら、実際にはマーケティングに乗せられているにすぎません。
大衆の末路

NISAそのものは素晴らしい制度ですが、大衆が感情だけで群がるとどうなるか。暴落が来た時に耐えられずに売り、非課税の恩恵を捨てる。短期の値動きに振り回され、結局は制度を活かしきれない。
制度は合理的でも、大衆が感情的である限り「投資の結果」ではなく「安心して群れた事実」に満足して終わるのです。
NISAなら誰でも得しますか?
制度は有利でも感情次第で損します。
まとめ
- NISAは長期的に資産形成を支援する有効な制度だが、大衆は本質を理解せず「非課税」「安心」という感情だけで飛びついている
- 感情型人間は「やらないと損」という同調圧力に弱く、自らの判断ではなく群れの空気に流される
- 彼らにとって重要なのは投資成果ではなく「みんなと一緒にやっている安心感」であり、それが大衆心理の本質
- 結局、NISAに群がる大衆は投資家ではなく、「非課税」という言葉に安心させられる消費者に過ぎない
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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