昨年の世界経済・金融市場を振り返ったとき、最も特徴的なキーワードを一つ挙げるなら、やはりトランプ関税だろう。
ただし、ここで注意しなければならない。
2025年の相場を動かしたのは、実際に全面的に発動された関税そのものではない。
むしろ市場に影響を与えたのは、ドナルド・トランプが再び関税を武器として使う可能性が、現実的なリスクとして“意識された”ことだった。
実際の相場結果を見れば分かる。
トランプ関税を真正面から受けそうな市場が必ずしも崩れたわけではなく、逆に関税の文脈で「位置取りが良かった市場」だけが強烈に上昇した。
つまり2025年におけるトランプ関税とは、
**経済政策というより、資金の行き先を選別する“フィルター”**だった。
- 実際に発動された関税と「発動されなかった関税」
- トランプ関税は「世界経済を壊す脅威」ではなかった
- トランプ関税が生んだ「勝ち組」と「負け組」
- トランプ関税の本質は「インフレ政策」でも「外交カード」でもない
- なぜ市場はトランプ関税を「冷静に消化できたのか」
実際に発動された関税と「発動されなかった関税」

まず事実関係を整理しておく必要がある。
2025年において、
• 世界経済を揺るがすような全面的な新関税戦争
• グローバル貿易を麻痺させるレベルの関税強化
が、実際に起きたわけではない。
一方で、
• 対中強硬姿勢
• 米国内製造業回帰
• 同盟国・友好国への選別的配慮
といったトランプ関税の思想そのものは、明確に市場に意識された。
ここが重要なポイントだ。
政策は「実行」されなくても、「予告」や「再登場の可能性」だけで市場を動かす。
2025年は、その典型例だった。
トランプ関税は「世界経済を壊す脅威」ではなかった

トランプ関税は、しばしば
「保護主義=世界経済の破壊」
という文脈で語られる。
しかし、2025年の相場結果を見る限り、
世界経済全体がトランプ関税で失速したとは言えない。
米国株は堅調で、世界株もプラス。
資源国、新興国の一部はむしろ大きく上昇した。
つまり、トランプ関税は
👉 世界全体を沈める「ショック」
ではなく、
👉 経済圏・産業・国を分断する「再配置圧力」
として機能した。
これは2000年代以降のグローバル化とは、まったく逆の作用だ。
トランプ関税が生んだ「勝ち組」と「負け組」

2025年の相場結果を冷静に見ると、トランプ関税の性質が浮かび上がる。
勝ち組
• ラテンアメリカ・メキシコ
→ 米国向けサプライチェーンの「中国代替」
• 韓国
→ 中国集中を避けたい米国にとっての現実的な製造代替
• 資源国・ゴールド
→ 関税・地政学・通貨不安の複合ヘッジ
これらは共通して、
「米国に近い」「中国に依存しすぎていない」「実物価値を持つ」
という条件を満たしていた。
負け組
• 暗号資産
→ 国家主導の保護主義・現実経済回帰と相性が悪い
• インド
→ 成長期待は高いが、関税メリットが限定的
• 一部テーマ投資
→ 政策より物語に依存しすぎた領域
ここで重要なのは、
トランプ関税は「勝ち組を作った」のではなく、「勝てる位置にあった市場を浮かび上がらせた」
という点だ。
トランプ関税の本質は「インフレ政策」でも「外交カード」でもない

トランプ関税は、
• インフレ政策
• 対中制裁
• 交渉カード
といった側面で語られることが多い。
だが、2025年の市場を通じて見えた本質は別にある。
それは、
「経済の主語を“国家”に引き戻す装置」
という役割だ。
関税が意識されると、
• 企業は効率より安全保障を考える
• 投資家は成長率より地政学を意識する
• 市場はグローバル最適よりブロック内最適を評価する
これは、
**自由貿易の是非ではなく、“経済の思想転換”**である。
2025年は、その転換が価格として初めてはっきり現れた年だった。
なぜ市場はトランプ関税を「冷静に消化できたのか」

2018年のトランプ関税初期と比べると、2025年の市場反応は明らかに落ち着いていた。
理由は3つある。
1. 想定内だった
→ トランプが関税を使うのは、もはやサプライズではない
2. 全面戦争ではないと理解された
→ 選別的・交渉的であることが市場に共有された
3. 企業・投資家がすでに耐性を持っていた
→ サプライチェーン分散は進んでいた
つまり、トランプ関税は
「恐怖の材料」から「織り込み済みの前提条件」へと格下げされた。
この変化こそ、2025年相場の最大の特徴である。
衝撃的な発言をしているようで、意外と市場を上手くコントロールしているような感じがします。
それを織り込んで市場がどう変化していくのかを捉えていく必要があります。
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まとめ
2025年の世界経済と市場結果を踏まえると、
トランプ関税とは何だったのかの答えは明確だ。
それは、
• 世界経済を壊す爆弾でも
• インフレを引き起こす単純政策でもなく
**「資金と産業の配置を変える選別装置」**だった。
実際に発動されたかどうか以上に、
“発動されうる世界”を前提に、投資家が動いたことが相場を形作った。
だから2025年は、
• 政治を予測した人が勝った年ではなく
• 政治がもたらす“構造変化”を理解していた人が勝った年だった。
投資において、
政治は答えをくれない。
政治は条件を変えるだけだ。
トランプ関税は、そのことをこれ以上なく分かりやすく市場に示した。
そしてそれは、2026年以降も繰り返し現れる“新しい常識”になっていく。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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