マニュライフ生命保険が行政処分へ!なぜこのタイミングで?

こんにちは、K2 Collegeの野村です。

今回は、7月11日に東洋経済ONLINEに掲載されておりました「金融庁、マニュライフ生命保険に行政処分発動へ」について解説しようと思います。例の名変プランの改訂発表から1年余りが経ちましたが、一体なぜこのタイミングでの処分なんでしょうか?その点含めて解説していきます。

  • マニュライフ生命保険が行政処分へ!なぜこのタイミングで? 動画解説
  • マニュライフ生命とは?
  • 今回の行政処分の発端は?
  • マニュライフ生命で行われてた現場の実態
  • (まとめ)今後、行政処分される保険会社が増える?

マニュライフ生命保険が行政処分へ!なぜこのタイミングで? 動画解説

マニュライフ生命とは?

ここでは、マニュライフ生命についてお伝えします。マニュライフ生命とはどんな会社でしょうか?

会社概要

マニュライフ生命は1887年にカナダで誕生したマニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーションのグループ会社で、同社の前身である「マニュファクチャラーズ生命」は1901(明治34)年、日本で最初に事業免許を取得した外資系生命保険会社です。

第二次世界大戦により事業を中断したが、1999年には「第百生命」を引き継ぐ形で再び日本でのビジネスをスタートし、2001年からはマニュライフ生命として、営業職員チャネル(営業拠点数:68)、銀行窓販の金融機関チャネル(提携金融機関:79)、代理店チャネル(代理店数:約1,950)を利用して営業しています。

設立:1999年3月
総資産:2兆1,397億円(2021年3月末時点)
保有契約件数:159万2千件
保有契約高:12兆8,507億円(2021年3月末時点)

格付情報

S&P:A+ (2021年6月末時点)

ソルベンシーマージン比率

825.9% (2021年3月末時点)

今回の行政処分の発端は?

この度、金融庁は月内にマニュライフ生命保険に対して保険業法に基づく業務改善命令を発動する方向で最終調整に入ったそうです。一体、何があったというのでしょうか?

発端はいわゆる「名変プラン」である。この保険は、低解約返戻金型逓増定期保険と呼ばれる保険のタイプで租税回避行為の疑いのあるケースが多い。同商品は契約からおおむね5年が経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっている。

その仕組みを利用して、契約者は5年目になる直前に契約の名義を、法人から役員個人に変更し契約を譲渡。そうすると、返戻金は税制上は個人の一時所得として扱われることになり、役員報酬などとして金銭を支払うときと比べて、所得税の負担を大きく軽減できる、というからくりになっている。

しかし、この手法そのものが脱税に近いとして2021年3月に「ホワイトデーショック」により税制改定が行われました。その後も同社では販売手法に問題があったとして、金融庁が目を光らせておりました。

そして、2022年2~6月まで4カ月間にわたり同社に立ち入り検査を実施し、租税回避行為を指南するような営業手法や「節税保険」の販売実態を調べていたが、現経営陣をはじめとして不適切営業における組織性や悪質性が高いと判断しました。業務改善命令が出れば、節税保険をめぐる行政処分としては初めてとなる。生保会社への行政処分としては2019年のかんぽ生命保険以来、約3年ぶりとなる見通しである。

マニュライフ生命で行われてた現場の実態

一体、マニュライフ生命はどのような営業活動をしていたのだろうか?私も生保代理店営業時代にこの保険を販売していた営業マンは当然存じ上げておりますが、保険会社がどのようにこの保険を代理店や顧客にアドバイスしていたのでしょうか?

節税効果を出すには、法人から個人への名義変更手続きをピンポイントのタイミングでおこなう必要がある。ですので、営業職員が何らの資料もなしにそのからくりを口頭だけで説明し契約者に理解してもらうのは容易ではないと想像できる。そのためマニュライフ生命は、名義変更による節税のからくりを記した「指南書」を内々に作成し、販売代理店などに配布しながら拡販に汗を流していたそうである。

そうした租税回避指南ともいうべき不適切営業は、明治安田生命保険、エヌエヌ生命保険、SOMPOひまわり生命保険、FWD生命保険でも露見している。ただ、マニュライフ生命に至っては、経営陣をはじめとして組織ぐるみで不適切営業を展開していた形跡があり、金融庁は悪質性が極めて高いとみている。

さらに金融庁は、過去に不適切営業を主導していたマニュライフ生命の旧経営陣の責任についても、行政処分の理由を記した文書に明記する方向で調整している。そもそも旧経営陣は、すでにマニュライフを去っているため、金融庁として業法に基づく直接的な処分はできない。それでも、”逃げ得”の前例をつくることにならないよう、旧経営陣の責任も大きいことを対外的に知らしめることで、移籍先の保険会社に処遇などの面で自主的な対応を促したい考えだ。

今回の処分で前例を作らないためにも、金融庁の本気度が伝わってきますね。

(まとめ)今後、行政処分される保険会社が増える?

この件でなくても不正契約などここ数年問題の多い生命保険業界。

今回のマニュライフ生命の行政処分に関しては、いわゆる見せしめ的な印象は否めない。今後は、他社でも同様のケースは増えてくるだろうし、辞めたからから免罪という事がなくなれば仮に業界を去った保険会社の社員や保険営業マンにとっては今頃そわそわしているに違いない。

とはいえ、私個人的には保険会社だけが悪いとは思わない。なぜならば、保険商品は金融庁の認可がないと販売できない。という事は、この逓増定期保険がリリースされる前に金融庁が認可したわけでその点については金融庁は黙ったままである。

深読みすると、最初からこういうシナリオを考えていたのではないだろうか?つまりは最初から保険会社を潰す目的があったかもしれない。そう考えると、違った意味で闇が深いなと感じざるを得ない。

生命保険業界が少しでも明るいニュースが出てこないか、しばらく出ないだろうなぁw

まとめ

  • マニュライフ生命はカナダに本社がある外資系保険会社
  • 名変プランをきっかけに問題が肥大化
  • 名義変更による節税のからくりを記した「指南書」を内々に作成し、販売代理店などに配布しながら拡販していた
  • もともとこうなる事は金融庁は想定範囲内だったかも!

今回は「マニュライフ生命保険が行政処分へ!なぜこのタイミングで?」について寄稿しましたがいかがでしたでしょうか?不正契約など未だに問題の多い生命保険業界。今後はこの名変プランをきっかけに行政処分される保険会社が多くなりそうですね。これまでも「節税保険」に関してはいたちごっこの繰り返しでしたが、2019年7月の税制改定以降、完全にそういった商品は無くなりました。とは言っても、私も周りでは未だに魅力のない法人保険を販売している営業マンもいます。そろそろ、クライアントにとってベストな商品を一緒にアドバイスしませんか?

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著者プロフィール

野村元輝
野村元輝
<経歴>
大学卒業後、大手宝飾品専門店に3年2ヶ月勤務。
生命保険業界の杜撰さに唖然として、世直ししたい一心で2006年6月から生命保険の代理店で生命保険の営業マンとして11年半勤務。

その傍らで、より顧客ニーズに立ったアドバイスがしたいと思い、2011年10月より個人事業として海外投資のアドバイスを開始。

弊社代表の河合と共通の知人経由で知り合い、その後弊社保険アドバイザー(K2 Assurance)として2017年12月より参画。

現在では、主に弊社パートナー(K2 Partners)向けに勉強会やセミナー講師、オンライン面談などを日々こなしています。
多くのパートナーが海外投資・海外保険のスペシャリストになるように日々サポートしております。

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