住友生命保険とソニー生命保険が医療保険の分野でコラボ?

こんにちは、K2 Collegeの野村です。

今回は、8月25日に日経新聞に掲載されていました「ソニー生命、住友生命の医療保険販売 自前開発から脱却」について解説しようと思います。もはや1社では強みが出せなくなってきた保険業界。今回の 件で今後生保業界はどうなっていくでしょうか?

  • それぞれの会社概要
  • 今回に至った経緯とは?
  • 強みを供給し合う関係に
  • (まとめ)今後生保業界ではこのような動きが加速する?

それぞれの会社概要

まずは、ソニー生命についての会社概要からお伝えします。

会社概要

ソニー生命は日本の生命保険会社で、ソニーグループ系列です。1979年8月「米プルデンシャル生命(ザ・プルデンシャル・インシュアランス・ カンパニー・オブ・アメリカ)」との合弁で、「ソニー・プルーデンシャル生命保険」として設立された。1980年2月に「ソニー・プルデンシャル生命保険」に、1987年9月に米国プルデンシャルとの合弁解消となり「ソニー・プルコ生命保険」とそれぞれ改称し、1991年4月から現社名。1996年1月にライフプランナーを商標登録し、同年4月にソニーの100%子会社となり、2004年4月にソニー損保、ソニー銀行とともにソニーフィナンシャルホールディングスの傘下に入った。

営業開始:1979年8月10日
事業所:162支店(2021年7月1日時点)
総資産:70兆1,738億円(2020年度)
保有契約高:53兆6,109億円(2020年度)

格付情報

S&P:A+(2021年7月1日現在)
R&I:AA(2021年7月1日現在)

ソルベンシーマージン比率

2,126.6%(2020年度)

業界規模としては、中堅の生保会社といったところですが個人的には国内漢字大手生保よりも信頼感と商品設計、保全体制に優れていると思います。

次に、住友生命についての会社概要です。

会社概要

住友グループに属する保険相互会社で、総資産、経常収益、保険料収入で業界第4位、4大生保の一角(日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命)です。

前身会社である『日之出生命保険会社』が1907年5月に創業。1925年、住友合資会社が日之出生命保険株式会社の経営を引き継ぎ、1926年5月に商号を『住友生命保険株式会社』に変更した。第二次世界大戦後の財閥解体並びに「財閥商号の使用禁止等に関する政令」により、住友連携各社が「住友」の商号を名乗れなくなったため、1947年8月に『国民生命保険相互会社』を設立。1952年5月、財閥商号の使用禁止等に関する政令の廃止により、住友連携各社が再び「住友」の商号を名乗ることが可能となったため、同年6月、名称を『住友生命保険相互会社』に変更。2001年11月、株式会社三井住友銀行、三井住友海上火災保険株式会社、三井生命保険株式会社との全面提携について合意した。これを受けて、2002年12月、運用子会社5社統合による新会社「三井住友アセットマネジメント」のほか、2010年4月、三井生命との共同出資による生命保険子会社『メディケア生命』等が営業を開始している。

正式名称:住友生命保険相互会社
設立時期:1907年5月
営業拠点:87支社 1,451営業所(2021年3月末時点)
総資産:41兆940億円(2021年3月末時点)
エンベディッドバリュー(EV):4兆4,892億円(2021年3月末時点)

格付情報

S&P:A+ (2021年3月末時点)
R&I:AA- (2021年3月末時点)
Moody’s:A1 (2021年3月末時点)

ソルベンシーマージン比率

862.5% (2021年3月末時点)

こちらは老舗大手生保会社ですし、

どちらも保険会社としては安定感がありますが、そんな両社が今回なぜタッグを組むことになったのでしょうか?次のパートで解説していきます。

今回に至った経緯とは?

なぜ、今回2社がタッグを組む事になったのでしょうか?流れとしては、住友生命のグループ会社が開発した終身医療保険を2023年1月からソニー生命の販売網で取り扱うとの事。その結果、ソニー生命は強みを持つ外貨建て保険などに注力し、競争が激しい医療保険の開発をやめる。他社の供給を受けながら品ぞろえを確保する動きが広がる可能性がある。

私もかつて保険代理店の営業マンだった頃、ソニー生命は第1分野(生命保険)に関しては法人個人ともに競争力のある商品が多かったですね。あと、変額保険(変額年金)に関してはこれまでも述べてきましたが、日本の変額保険そもそも推奨しておりませんが、ソニー生命のそれは運用も悪くなくいい商品だと思っていました。その反面、医療保険やがん保険はお世辞にもいい商品とは言えなかった。なので、今後は運用系の商品に力を入れていく事だというのは納得ができましたね。

また、生命保険会社が商品を供給し合う提携はとても珍しいケース。保険商品をつくれば、営業職員の販売力で一定の収益をあげられるため、自前主義へのこだわりが強い。会社としては顧客を囲い込みたいために自社で商品ラインナップを揃えるが、今回は自社の強みに特化した逆のケース。ただ、その方がソニー生命は運用系の商品が強い!と顧客から認識されれば、かえってわかりやすくて良いと思います。

強みを供給し合う関係に

今後、ソニー生命のライフプランナー(営業職員)はどのように医療保険を営業していくのでしょうか?

ソニー生命が販売を始めるのは、住友生命の子会社であるメディケア生命保険が開発した3種類の終身医療保険。メディケア生命の募集代理店となり「ライフプランナー」と呼ぶ営業担当者が取り扱う。自社で開発した医療保険の販売をやめ、新規の開発からも撤退する。グループ外の企業から商品の供給を受けるのは初めてとなる

住友生命にとっては販路を開拓し、販売実績に応じて収益を得られる利点がある。あらかじめ多くの販売量を見込めるようになれば、幅広い医療保険を開発しやすくなる

住友生命では、全国で3万人以上の営業職員がソニー生命の外貨建て終身保険や養老保険を19年から販売し、累計の契約数は約10万件におよぶ。提携関係を主力の医療保険にも広げ、相互補完の関係を築く。資本提携に発展させたり、保険商品を共同開発したりする予定はないようだ。

両社にとって、自社の強みと弱みを活かそうと思った時に無理に商品開発にコストをかけるのではなく、他社のいいところ獲りで販売できれば双方でWin-Winの関係となるだろう。

(まとめ)今後生保業界ではこのような動きが加速する?

これは良い試みだと思う。特に、国内老舗大手生保会社は近年、子会社化して医療保険やがん保険などいわゆる「第3分野」の商品に特化して販売しているケースが多い。そのため、医療やがん保険では顧客のパイの奪い合いになっているのが現状ですが、こうすれば顧客も離れにくくなるのではないかと思う。

生命保険協会によると、医療保険の新契約は21年度に約362万件と全体の約3割弱を占める。持病や治療歴のある人でも医療保険へ入れるようになるなど、多様化が進むニーズに応えようと競争が激しくなっている。

グループを超えた連携は全国の郵便局でアフラック生命保険のがん保険などを販売する日本郵政などに限られる。医療保険の開発に特化した保険会社も増えるなか、効率的に商品開発できるかどうかが競争力を左右するようになってきた。

今後、ますます保険会社同士でこのような動きになるのではないかと思う。

まとめ

  • 住友生命保険とソニー生命保険が医療保険の分野で提携開始
  • 住友生命のグループ会社が開発した終身医療保険を2023年1月からソニー生命の販売網で取り扱う
  • ソニー生命が販売を始めるのは、住友生命の子会社であるメディケア生命保険が開発した3種類の終身医療保険
  • 住友生命では全国で3万人以上の営業職員がソニー生命の外貨建て終身保険や養老保険を19年から販売し、累計の契約数は約10万件におよぶ
  • 今後、保険会社間でこうしたコラボはますます増えてくるのでは?

今回は「住友生命保険とソニー生命保険が医療保険の分野でコラボ?」について寄稿しましたがいかがでしたでしょうか?保険会社間でこうした動きは、アフラックと日本郵政(かんぽ生命)以来ですが、業界再編のいい動きにつながるのではないかと思っております。もはや1社専属ではなかなか厳しい生命保険の営業マンにとっても、他社商品が販売できれば、顧客に提案出来るラインナップも増えますし。いがみ合わずに仲良くしていきましょう!ってことですかねw

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著者プロフィール

野村元輝
野村元輝
<経歴>
大学卒業後、大手宝飾品専門店に3年2ヶ月勤務。
生命保険業界の杜撰さに唖然として、世直ししたい一心で2006年6月から生命保険の代理店で生命保険の営業マンとして11年半勤務。

その傍らで、より顧客ニーズに立ったアドバイスがしたいと思い、2011年10月より個人事業として海外投資のアドバイスを開始。

弊社代表の河合と共通の知人経由で知り合い、その後弊社保険アドバイザー(K2 Assurance)として2017年12月より参画。

現在では、主に弊社パートナー(K2 Partners)向けに勉強会やセミナー講師、オンライン面談などを日々こなしています。
多くのパートナーが海外投資・海外保険のスペシャリストになるように日々サポートしております。

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