ランドバンキングって今どうなっているの?

こんにちは、K2 Collegeの野村です。

今回は、数年前にちょっとしたブームとなった「ランドバンキング」投資について解説していきたいと思います。日本では、いわゆる「原野商法」と呼ばれたりあまり良いイメージがないですが、海外ではどうなのでしょうか?

  • 「ランドバンキングって今どうなっているの?」動画解説
  • ランドバンキングとは?
  • ランドバンキングのメリットとデメリット
  • (まとめ)償還実績を殆ど聞かないので投資としては不向き?

「ランドバンキングって今どうなっているの?」動画解説

ランドバンキング投資とは?

ランドバンキング投資とは、不動産投資会社が将来的に開発需要が見込まれる未開発の土地を購入し、UDI(個別に境界線が引かれていない共同持分)という形で、投資家に公募をおこなう投資プロジェクトのことを指します。近い将来(3年から8年)の間に値上がりが確実視される土地に、更地の段階で投資をする方法です。

不動産投資会社は、購入した土地に対する開発プランニングをおこない不動産開発デベロッパーに土地を売却します。その後、売却によって得た利益を投資家へ償還しファンドは解散となります。なお売却の決定方法は、契約内容にもよりますが、一般的に投資家の過半数の賛成により成立します。

比較的古くからある資産運用手法で、似たようなビジネスとして世界的に財を成した人物では、ロックフェラー、ウォルト・ディズニー、ドナルド・トランプ、ハワード・ヒューズなどがあげられます。

不動産投資で有名なものとして、REIT(リート:不動産投資信託)がありますが、こちらは投資信託の色合いが濃く、金融商品に近いものです。
また、物件を所有し、賃料などから収益を得るインカムゲインもありますが、こちらもランドバンキングとは、全く異なる収益モデルとなります。

尚、ランドバンキングには大きく分けて、ひとつの土地を複数者で購入するファンドタイプと、すべてを自分の名義で取得する不動産タイプがあります。

ランドバンキングは、1970年代あたりから広大な土地があるアメリカでスタートし、カナダやアメリカに会社がある「Walton」社が有名である。日本でもいくつか導入例があり、山形県鶴岡市ではNPO法人「つるおかランド・バンク」や静岡県掛川市ではNPO法人「かけがわランド・バンク」が活動している。

ランドバンキングのメリットとデメリット

ここでは、ランドバンキングのメリットとデメリットについて触れていきます。

メリット

  • 個別不動産プロジェクトへの投資形態をとるので、株価や為替などの金融市場の動きに左右されることが少ない
  • 更地の段階で安価な値段での投資となるため、値下がりを起こす要因が極めて少ない
  • 更地のまま開発業者へ受け渡すため、中間的な費用がかからない

デメリット

  • 満期までの期間を定められないため、想定期間より長引くことがある
  • 中途解約できないことが多く、流動性が低い
  • 個別の不動産プロジェクトへの投資形態をとるので、プロジェクトによって利益幅が異なる

通常、国内も海外も不動産投資は物件を借り入れして、毎月のインカムゲインや数年後に売却してキャピタルゲインを狙っていく手法ではあるが、ランドバンキングはそれとは異なる性質でありますので注意が必要です。

(まとめ)償還実績を殆ど聞かないので投資としては不向き?

メリットも有る一方でデメリットも存在する「ランドバンキング」。これまでカナダやアメリカなどの先進国やカンボジア、バングラディッシュ、インドネシアなどの後進国でもこうした投資話はありましたが、償還実績は果たしてあるのでしょうか?

2012年ごろにWalton社のとある社員がセミナーで話していたのは、1990年代に投資されたものはすべて償還済、2000年から2004年までに投資されたものは6割方は償還されたという。2005年以降に投資されたプロジェクトは、リーマンショックによる影響が大きく、償還が予定よりも伸びている案件が多くなっていると言う。

しかし、直近の情報によると、今年6月に承認されたWalton社のランドバンキングの買収オファーが撤回されたと投資家宛にお知らせメールが入ったそうです。Walton社のランドバンキングに申込んだ当初は、償還期間は平均5年程度って話でしたがかなり遅れているんだとか。

また、2011年に3ユニットを購入した方は現在まで10年以上、保有する3ユニットの償還予定期間は無限延長を繰り返され1ユニットも償還されないまま時だけが過ぎているそうです。

私自身はこちらは投資していないので投資の中身に関しての主観的な意見や情報は避けますが、Walton社の香港支社はかつて何度か訪問したことはあります。とても立派なビルのテナントに入っていて、話を聞く感じしっかりとした会社だと感じました。

しかし、周りで購入している方は何人かいますがこれまで償還したという方は聞いたことがありません。もちろん、今後どうなるかはわかりませんが少なくともこの数年のコロナ禍で世界各国の経済が正常に戻るまでは償還される可能性は低いと思います。

また、Walton社以外のランドバンキングはいわゆる「原野商法」的な話が多いみたいで、実際に土地を購入すらしていなくて、トンズラされた詐欺案件も多発しているため個人的には今後も投資しない方がいいと思います。

まとめ

  • ランドバンキングは古くからある資産運用手法
  • 通常の不動産投資よりも安価で投資ができる
  • 一方で自分で売却時期を決められないなど流動性に欠ける
  • かつては償還実績があったが、ここ数年は目立った償還実績は聞かない
  • これからランドバンキング投資はおすすめしない

今回は「ランドバンキングって今どうなっているの?」について寄稿しましたが、いかがでしたでしょうか?私自身、2015年前後にWalton社に訪問しましたがその時に聞いた話から現在はコロナ禍も相まって、マーケットが激変し償還時期も伸びているのかもしれません。投資にはリスクはつきものですので、絶対はありませんがご自身でメリット・デメリットを把握して、雰囲気や周りの意見だけで判断するのではなく、数値的なデータなど検証しつつ、投資をするように心がけましょう。

*パートナー募集はこちら

著者プロフィール

野村元輝
野村元輝
<経歴>
大学卒業後、大手宝飾品専門店に3年2ヶ月勤務。
生命保険業界の杜撰さに唖然として、世直ししたい一心で2006年6月から生命保険の代理店で生命保険の営業マンとして11年半勤務。

その傍らで、より顧客ニーズに立ったアドバイスがしたいと思い、2011年10月より個人事業として海外投資のアドバイスを開始。

弊社代表の河合と共通の知人経由で知り合い、その後弊社保険アドバイザー(K2 Assurance)として2017年12月より参画。

現在では、主に弊社パートナー(K2 Partners)向けに勉強会やセミナー講師、オンライン面談などを日々こなしています。
多くのパートナーが海外投資・海外保険のスペシャリストになるように日々サポートしております。

この投稿へのトラックバック: https://media.k2-assurance.com/archives/8338/trackback