RL360は、英国系保険会社Royal London Groupから分離し、マン島(オフショア金融センターの一つ)を拠点として展開している生命保険会社です。主力商品として知られるのが Regular Savings Plan(RSP) や Quantum といった積立型の保険ラップ商品で、日本人投資家にも「オフショア積立」「ドル建て長期資産形成」の名目で広く販売されてきました。
RL360の商品は一見すると「国際的な金融センター」「安定した欧州系保険会社」という安心感が強調され、長期的な資産形成の手段として紹介されます。しかし実際には、契約者の多くが期待した成果を得られず、「積立を続けられない」「解約して大損した」といった不満が噴出しています。
RL360はどうして投資家から不満が噴出しているのですか?
初期手数料の重さ、長期拘束、IFAの販売姿勢、ファンド選定の偏り、そして制度上の問題があるからです。
- 初期コストと長期拘束による不利な設計
- 解約ペナルティと積立中断リスク
- IFAの販売姿勢とフォロー不足
- 高コストファンドと市場平均割れ
- 制度的な仕組みと文化的誤解
初期コストと長期拘束による不利な設計

RL360の積立型商品は、契約時に定めた積立期間(通常15年〜25年)に応じて、契約初期の18〜24か月分の拠出金が「初期ユニット」として手数料に充当される仕組みを採っています。これはFriends ProvidentやZurichの類似商品と同じ構造で、最初の数年分はほとんど運用に回らないため、投資家は不利なスタートを切ることになります。
このため、契約から数年間は「積立しているのに資産残高がほとんど増えない」という現象が起こり、投資家の不安と不満を生み出します。さらに契約期間中は「解約控除」が設定されており、例えば20年契約を10年で解約すると元本の半分近くしか戻らないケースもあり、長期拘束のリスクが大きなデメリットとなります。
解約ペナルティと積立中断リスク

RL360の商品では、契約期間中に積立を中断すると「未払いの初期手数料」が残存期間分まとめて発生する仕組みがあります。これは投資家にとって大きな負担であり、積立を止めることが即「損失確定」につながる設計です。
加えて、途中解約時の「解約控除」が非常に重く、特に10年未満で解約した場合は元本の半分以下しか戻らないことも珍しくありません。つまり、積立を最後まで続けられなければ失敗する可能性が極めて高い商品だといえます。
現実には、為替変動や生活環境の変化によって20年間積立を続けられる投資家は少なく、多くが途中で積立を停止し、結果的に大きな損失を被っています。
IFAの販売姿勢とフォロー不足

RL360が日本人投資家に広まった背景には、香港やシンガポールのIFAの積極的な販売活動があります。セミナーや紹介制度を通じて「ドル建てで老後資金を安全に形成できる」「国際分散投資で安定したリターンが得られる」といった宣伝文句で契約を勧誘しました。
しかし、IFAの収益は販売時に支払われるコミッションが中心であり、契約後のフォローは不十分になりがちです。ファンドのリバランスや運用相談をしたくても、IFAが撤退して連絡が取れなくなるケースも少なくありません。投資家は「契約した後は放置される」ことが多く、結果的にファンドの低迷を放置して資産が減り続ける状況に陥っています。
IFAによっては長期的に顧客を支援し、適切にファンドを入れ替えて成果を出している例もありますが、それはごく少数派であり、全体的には「販売優先・フォロー不足」が目立ちます。
高コストファンドと市場平均割れ

RL360のプラットフォームで選べるファンドは一見すると幅広いのですが、実際に販売されるのは手数料の高いアクティブファンドが中心です。販売者が高いコミッションを得られるため、顧客には積極的に薦められますが、その結果として多くの契約者が市場平均を下回る成績に終始しています。
例えば、S&P500やMSCIワールドに連動する低コストのインデックスファンドを選べば長期的に安定した成果が見込めるのに、販売現場では「人気ファンド」や「好成績を誇った短期のアクティブファンド」が勧められ、その後の低迷で損失を被るケースが後を絶ちません。つまり、商品設計だけでなくファンド選定の段階でも投資家に不利なバイアスがかかっているのです。
制度的な仕組みと文化的誤解

RL360の商品は「保険契約」の形式をとるため、日本の金融庁の規制下にはありません。そのため「海外だから有利」「日本では買えない特別な商品」という誤解が広がりました。実際には、国内のつみたてNISAや低コストインデックスファンドの方が手数料が低く、リターンも安定しているのですが、当時は「海外の方が得だ」という宣伝がまかり通っていました。
さらに、「保険」という言葉から「ある程度元本保証される」と誤解した投資家も多く、契約後に「全く保証がない」「途中解約で大きく損をする」という現実に直面し、不満を募らせました。これは制度的な設計と文化的な投資理解のギャップが生んだ典型例といえます。
まとめ
- RL360の海外積立は、以下のような構造的問題を抱えています。
- • 初期コストが大きく、契約初期は極めて不利なスタート
- • 途中解約や積立中断に対して過酷なペナルティ
- • IFAによる販売優先・フォロー不足
- • 高コストファンド中心で市場平均を下回る成績
- • 制度上の仕組みと文化的誤解が投資家に不利に作用
結論として、RL360の積立は「20年以上積立を継続できる強い覚悟」と「信頼できるIFAによる継続的な支援」がなければ成功は難しい商品です。
しかし現実には、その条件を満たす投資家はごくわずかであり、大多数が途中で積立を止め、解約控除に苦しんでいます。
つまり「RL360の運用成績が悪い」というより、「高コスト・長期拘束の商品を十分理解せずに契約し、継続できなかった結果が不振につながっている」と言えます。
今後もし海外積立を検討するのであれば、国内の低コスト投信やNISA制度と比較し、「20年以上積立を続けられる自信があるか」を厳しく自問する必要があります。
20年以上積立を継続できる強い覚悟はあるのですが、IFAに連絡しても返信がなかったりして困ってます。
必要に応じてアドバイザー変更を検討されてはいかがでしょうか?
「海外積立の成績が悪い」と感じていても、契約を解約せずアドバイザー(IFA)を“選び直す”ことで改善できる余地は少なくありません。
アドバイザー変更は、こちらからご相談いただけます。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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