ケイマン諸島、バミューダ、マン島、ジャージーなどの「オフショア金融センター」は、法人税率がゼロまたは極めて低いことで知られる。にもかかわらず、これらの地域は国家財政を維持し、世界中の金融資本を呼び込み続けている。その秘密は、税金以外の方法で国家収入を確保する巧妙な仕組み にある。さらに近年では、アフリカ投資のゲートウェイとして台頭する モーリシャス が、ケイマンやバミューダと並び国際金融ハブとして存在感を増している。本稿では、オフショア地域の収益構造を5つの視点から整理し、モーリシャスを含めて比較する。
- 法人設立・維持にかかる「登録料ビジネス」
- 金融ライセンス・ファンド登録料
- 法務・会計・信託サービスからの収益
- 消費税・関税・観光による間接税収
- 「法人税ゼロ」自体が商品である「法人税ゼロ」自体が商品である
法人設立・維持にかかる「登録料ビジネス」

オフショア地域は法人設立そのものに高額な登録料を課している。
• ケイマン諸島:エクゼンプト・カンパニーの年間登録料は数千ドル規模で、資本金額に応じてさらに増額される。
• バミューダ:再保険会社設立に際して数万ドル単位の設立料が必要。
• マン島・ジャージー:SPC(セグリゲーテッド・ポートフォリオ・カンパニー)など複雑な法人形態の維持に高額の年会費。
• モーリシャス:GBC(Global Business Company)の設立費用・年会費が国家歳入の柱で、アフリカ進出企業が多数設立している。
法人税を課さずとも、「年会費モデル」で世界中の法人から固定収益を得る」 仕組みである。特にモーリシャスは、アフリカ進出企業にとって「安全な登記国」として選ばれるため、この登録料収入が経済の屋台骨となっている。
金融ライセンス・ファンド登録料

オフショア金融センターの最大の収益源のひとつが「ライセンス料」だ。
• ケイマン:世界のヘッジファンドの6〜7割が籍を置くとされ、ファンド1本ごとに数千ドル規模の年次ライセンス料を徴収。
• バミューダ:保険・再保険ライセンスに数万ドルの維持費用。
• マン島・ジャージー:トラスト会社や投資ファンドのライセンス登録が主要財源。
• モーリシャス:アフリカ・インド投資向けファンドの登録が集中しており、「ファンドごとの登録料」が政府歳入の大黒柱。インド企業のタックス・ルートとして機能してきた歴史があり、二重課税防止条約を活かしてライセンス料を徴収している。
ここでのポイントは、法人税を取らず「ライセンス料=国家財源」に転換している ということだ。
法務・会計・信託サービスからの収益

オフショア地域には国際法律事務所や会計事務所が集積しており、これらのサービス業が現地経済を支えている。
• ケイマン・バミューダ:Maples、Walkers、Conyersなどの大手法律事務所が拠点を構え、ファンド設立・保険契約組成に数万ドル単位の報酬。
• マン島・ジャージー:トラスト管理・相続スキームで個人富裕層からの継続的報酬。
• モーリシャス:インド・アフリカ間の投資ストラクチャーで法務・会計サービス需要が急増。現地のサービス会社が「登記・コンプライアンス管理費用」として毎年数千〜数万ドルを徴収している。
つまり、オフショアの収益は「金融サービス立国モデル」 に依存しており、税収の代わりにサービス報酬が経済を潤している。
消費税・関税・観光による間接税収

オフショア地域は直接税が軽い代わりに、消費や観光に対する課税が財政の柱 となっている。
• ケイマン・バミューダ:生活物資や車・電化製品に20〜40%の関税を課しており、輸入依存経済ゆえに国家収入の安定源となる。
• マン島:イギリスVAT(付加価値税)の分配制度を利用し歳入を確保。
• モーリシャス:観光立国でもあり、ホテル税や観光関連の間接税が財政を支える。また輸入品への関税も国家収入の大部分を占める。
法人税ゼロ政策を維持する一方で、住民や観光客からの間接税収入で財政をバランスさせている のが特徴だ。
「法人税ゼロ」自体が商品である

オフショア地域に共通するのは、法人税ゼロそのものをブランド化している という点である。
• ケイマンは「世界のヘッジファンドの登記国」としてブランドを確立。
• バミューダは「世界最大の再保険市場」として名を馳せる。
• モーリシャスは「アフリカ投資ゲートウェイ」としてインドや欧米企業に選ばれる。
この「税率ゼロ」を商品化することで、世界中の企業やファンドを誘致し、登録料やライセンス料、周辺サービス消費を通じて収益を得る。つまり、法人税を課さないことこそが「最大の輸出品」なのだ。
法人税ゼロでどうやって国は収益を得ているのか不思議でしたが、そういう仕組みだったんですね。
それでも法人税がゼロというのは大きなアドバンテージなので、より良いものが作れるということですね。
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まとめ
オフショア地域が法人税ゼロでも収益を得られるのは、以下のような多角的仕組みによる。
1. 法人登録料・維持費(年会費モデル)
2. 銀行・保険・ファンドのライセンス料
3. 法務・会計・信託サービスの報酬
4. 消費税・関税・観光税など間接税収
5. 「法人税ゼロ」自体をブランド化して世界資本を呼び込む
特にモーリシャスは、アフリカとインドを結ぶ金融ゲートウェイとして、ケイマンやバミューダに並ぶ存在感を確立している。オフショアとは単なる「租税回避地」ではなく、税ゼロ政策を「商品化」して世界の資本を集め、それを固定費・ライセンス料・サービス業で収益化する国家モデル なのである。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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