党税制調査会「インナー」と財務省――自己修正力を失った日本の増税装置の正体

日本の税制は、表向きには「民主主義的なプロセス」を経て決定されている。しかし実態を見ると、税制の中枢は極めて限定された人数によって事前に方向性が決められ、国会審議や世論形成はその追認に近い形で進むケースが多い。
その象徴が、自由民主党税制調査会の「インナー」と、財務省との密接な関係である。

この構造は、税収を増やす方向には強烈に働く一方、減税や制度の抜本的見直しといった「自己修正」をほぼ不可能にしている。その結果、日本は増税を繰り返しながらも財政健全化には至らず、国債残高だけが積み上がるという矛盾した状態に陥っている。

  • 税制調査会「インナー」とは何者か
  • 財務省との「ツーカー」が生む政策一体化
  • 勝手に増税できる日本の制度的土壌
  • 自己修正力が働かない致命的欠陥
  • 増税しても破綻寸前という矛盾の正体

税制調査会「インナー」とは何者か

政府税制調査会 - Wikipedia

自民党税制調査会(いわゆる「党税調」)は、税制改正の与党側窓口である。しかし、実際に意思決定を行うのは党税調全体ではない。
中核に存在するのが、会長・幹部・一部のベテラン議員で構成される非公式な意思決定層、通称「インナー」である。

このインナーは、
• 実質的な税制改正の方向性を事前に決め
• 党内議論が始まる前に「落としどころ」を設定し
• 異論を“調整”という名目で吸収・排除する

という役割を担う。
重要なのは、このプロセスが制度上は可視化されておらず、議事録も公開されない点だ。形式的には党内民主主義を保ちながら、実態としては少数による寡頭的意思決定が行われている。

財務省との「ツーカー」が生む政策一体化

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インナーが強い理由の一つが、財務省との長年にわたる人的・思想的な一体化である。
財務省は、
• 税収最大化
• 財政規律の名の下での緊縮志向
• 「国民負担率は上げざるを得ない」という前提

を組織的価値観として共有している。

一方、インナー議員の多くは、
• 財務省レクを日常的に受け
• 税制の専門知識を財務官僚に依存し
• 「財政再建派」というレッテルを政治的武器にしてきた

結果として、政策立案者(政治)と実務設計者(官僚)の境界が曖昧になり、「増税ありき」の思考が相互強化される構造が出来上がる。

ここでは、国民負担を下げる視点や、成長による税収増といった代替案は、最初から「非現実的」として排除されがちである。

勝手に増税できる日本の制度的土壌

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日本で増税が比較的容易に進む理由は、国民性ではなく制度設計にある。

第一に、**税制改正が毎年行われる「定例行事」**である点。
毎年必ず改正があるため、「今回は増税なし」という判断が政治的に難しい。

第二に、負担の分散化・不可視化。
• 社会保険料という「税でない税」
• ステルス増税(控除縮小、基準変更)
• 将来世代への先送り(国債)

これらによって、国民一人ひとりの痛みは薄められる。

第三に、増税に対する拒否権が存在しないこと。
国民投票もなく、超過半数の賛成があれば制度は通る。結果として、組織化された少数の利益が、沈黙する多数に勝つ構造が温存される。

自己修正力が働かない致命的欠陥

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本来、健全な制度には「失敗したら戻す」仕組みが必要だ。しかし日本の税制にはそれが存在しない。
• 一度導入された税は下げられない
• 増税の効果検証は曖昧
• 想定と違う結果が出ても責任主体が不明

例えば消費税は、「社会保障のため」とされながら、実際には一般財源化され、社会保障削減と同時進行で引き上げられてきた。
それでも制度自体が見直されることはない。

この構造は、一部の人間(制度運営側)にとっては極めて都合が良い。
なぜなら、
• 税収は増える
• 予算配分権限は拡大する
• 責任は分散される

からである。

増税しても破綻寸前という矛盾の正体

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皮肉なことに、これほど増税を繰り返しても、日本の財政は改善していない。
国債残高は膨張し、利払いリスクは上昇し、将来世代への負担は積み上がる一方だ。

原因は明白で、
• 成長を阻害する税制
• 硬直化した歳出構造
• 政策評価なき予算編成

が同時に存在しているからである。

つまり日本は、
「増税できる国」ではあるが、「財政を立て直せる国」ではない
という状態に陥っている。

増税ばかりで嫌になりますね。

税金に頼らない国政を考えていただきたいですね。

まとめ

自民党税制調査会インナーと財務省による日本の税制運営は、短期的には安定して見える。しかし実態は、
• 増税方向にしか動かない
• 自己修正力がない
• 成長を犠牲にしても止まらない

という、極めて危うい構造である。

この仕組みが続く限り、国民負担は静かに、しかし確実に増え続ける。一方で財政危機は解消されず、責任の所在も曖昧なままだ。

問題は「増税か否か」ではない。
意思決定が閉じており、間違いを修正できない構造そのものにこそ、日本の本質的なリスクがある。

必要なのは感情的な反発ではなく、この構造を正確に理解し、どこに歪みがあるのかを言語化することだ。それができなければ、同じ増税装置は今後も静かに回り続けるだろう。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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